「打ち碁の並べ返し」について考察していきます。

打ち碁の並べ返し

反省することが最重要

あなたは一局の碁を何手まで並べ返すことができるでしょうか?

自分自身の打ち碁を並べ返して反省するのは上達には欠かせないことです。

今ではネット碁の棋譜保存機能により、すべての打ち碁を保存して管理することができます。

しかし大事なことはあなた自身の頭の中に記憶されているのかどうかです。

さもなくば、ネット碁による棋譜の見返しは大した反省にならないでしょう。

囲碁は相手との対話です。

要するに「先ほど話した内容を覚えているか?」ということが大切なのです。

ネット碁で棋譜保存しているのは、いわば「録音」と同じことです。

メモや日記に例えても良いかもしれませんね。

それでは、あなたは「メモ」や「録音」した内容をどれくらい見返していますか?

また頭の中にそのときのことがどれくらい残っていますか?

結局のところ、振り返りをせずに通り過ぎてしまうのはテストの結果だけを得て反省しないのと変わりありません。

対局の直後にすぐに次の対局に臨んでいては、いつまで経っても似たような失敗を繰り返すことになります。

「私1人では対局内容を振り返ったところで、どこが悪かったのかわかりません」

こういう主張をする人もいることでしょう。

しかし本当に何もわからないということがあるのでしょうか?

少なくとも「アタリ」の見損じや愚形にされたことなど、簡単なミスであれば見つけることができるはずです。

それにあなた自身が「悪い」と認識できないことはまだあなたが学ぶべき段階に至っていない証でもあります。

実戦の中で反省や後悔をするのは勝敗に影響するので、極力考えないほうが身の為でしょう。

勝敗が付いてからいくらでも反省して後悔すればよいのです。

結果とはただの指標

囲碁は勝敗を争うゲームゆえに「結果」を気にしがちになります。

しかし勝敗が付いてしまってから「結果」を気にしても仕方ありません。

あなたは学生時代にテストの点数を上げようと必死に勉強していたはずです。

大切なのは「学力向上」であって「テストの結果」ではありません。

テストとは一番大事なテストである「受験」に備えて、日々あるいは定期的に「学力検査」を行っているだけに過ぎないのです。

囲碁の場合は「対局」そのものが棋力向上に大いに役立ちます。

なぜなら「トライ&エラー」を繰り返すことで、勝つために必要なことが自然と身に付いていくからです。

対局に加えて「検討」もすることで、どこがどう「悪かったのか」あるいは「良かったのか」をより明確にすることができます。

ネット碁で対局直後に「検討」するのはとても有意義なことなのです。

さらに「並べ返し」ができれば、何も言うことはありません。

「並べ返し」ができるという事実はテストの内容をすべて思い出せることに他なりません。

もし身近にそんな学生がいたらすごいと思いませんか?

囲碁において並べ返しを日常的に行っているのは「高段者」以上のレベルです。

「検討」をよくするのは有段者であり、「対局」に終始しているのは級位者でしょう。

プロ棋士に至っては何年も前の碁の内容を昨日のことのように思い返すことができます。

なぜそのような常人離れしたことができるのでしょうか?

答えは簡単です。

プロ棋士や高段者は「意味のある手」しか打っていないからです。

いわゆる「井戸端会議」や「下校中の雑談」みたいな意味のない会話をしていません。

それこそ議事録を付けるような意味のある話し合い(対局)を行っています。

つまり囲碁に限ったことでないですが、何事も「過程が大事」だということです。

「結果」を追い求めるために「過程」をより良くすることは必要不可欠です。

そして結果が出てしまってからでは、もはや結果に意味はありません。

勝ちならまだしも「なぜ負けという結果が出てしまったのか?」そこに至る道程を見返さなくては次の結果につながりません。

記憶に紐づけする

面と向かっての対局では「並べ返し」どころか「検討」することもままならない人が数多くいます。

ネットを使わないリアルの対局では「並べ返し」ができないと「検討」することも無理だからでしょう。

級位者は無論のこと、有段者でも「感想戦」に終始することになります。

そもそもどうして自分の打ち碁を並べ返すことができないのでしょうか?

それは一局の中における「自分の話」と「相手の話」をよく理解していないからです。

「自分はこういう想い(考え)でここに打った」

「相手はこういう想い(考え)でここに打ったのだろう」

この2つの思考さえできていれば、1人でも初手から並べ返すことができます。

相手と2人で並べ返すのはもっと楽な作業になります。

お互いに自分の考えをきちんと覚えていれば、それに沿っていくことで自然と打ち碁を復元できるでしょう。

「私は割と適当に打っていて、一手一手よく考えながら打つことなんてできません」

こう仰る方も多いことでしょう。

実は打ち碁の並べ返しというのは級位者でも慣れれば当たり前のようにできてしまいます。

並べ返しにおいて絶対に必要なのは「時間」です。

碁会所で打つにしてもネット碁で打つにしても「早打ち」の人が並べ返しするなんてとてもできるわけがありません。

囲碁で次の一手を決めるのは「感覚」によるところが大きいため、ついつい第一感で手を進めたくなるのはよくわかります。

しかし自分自身の「感覚」に「理由」を紐づけしていけば、後で並べ返すときに大いに役立つことでしょう。

時間をかければといっても「意味の分からない」手を打たれてしまってはどうしても思い返すことができません。

指導碁をしていても「並べ返し」を行うには、(相手の方に)最低でも10級以上の棋力を必要とします。

それ以下の棋力の方との打ち碁は家に帰って棋譜保存しようにも、要所のところで手が止まってしまいます。

私自身が意味のある手を打ち続けるのに対して、相手は「1手パス」のような手を何回も打ってきます。

家に帰って並べ返したときに「あれ、ここで(相手が)どこに打ったんだっけ?」と困惑することもしばしばです。

逆に初段以上の方であれば、指導碁が終わって家で並べ返しすることなど造作もありません。

なぜならお互いに一局のストーリーをよくわかって打っているからです。

並べ返しのコツとしては「よく考えること」の他に「手を使って打つこと」が挙げられます。

脳は物事を記憶する際に「いろいろなことを紐づけ」して記憶しやすくしています。

皆さんは「消火器」を思い出すことができますか?

頭の中でイメージしてみてください。

消火器とは「硬くて」「赤い」「円柱の」「黒いホースに」「黄色い栓のついた」ものです。

これらは「硬い」という手触りと「赤・黒・黄」という色彩と「円柱・ホース・栓」という形を表しています。

より細かく多くの情報を紐づけできれば、脳は記憶しやすくなります。

初心者の方、あるいは級位者の方が並べ返しを苦手としているのも、まさしく情報を紐づけできていないのが原因と言えるでしょう。

囲碁においての情報とは「石の形」しかないように思えます。

しかし「格言」や「名称」によって、石の形を「言葉」として記憶しやすくしています。

「ここは二目の頭見ずハネよだったな」「シチョウにして取ろうとしたな」など言葉と石の形は紐づいています。

それに加えて「手を使う」ことで、より着手が体の動きと結びついて覚えやすくなります。

皆さんも学生の頃はよく手を動かしながら勉強していましたね。

今どきの子はタブレットで勉強したりするようですが、はたしてどれだけ記憶に結び付けられるのか定かではありません。

プロ棋士のように盤上から多くの情報を読み取ることができれば、石の形を「言葉」や「体の動き」と結びつける必要はないでしょう。

ただ囲碁の知識が乏しく、盤上から読み取れる情報も少ない級位者にとっては「別の情報」と紐づけして記憶しやすくするのは必須です。

あなたがもし「時間を使って」「石を持って」打つことができるのなら、並べ返しを習得するのに多くの手間はかかりません。

あとは「実戦」して並べ返すだけです。

面と向かって打つときに相手が同程度のレベルであれば、正しく並べ返しができているか確認することができません。

またネットで打つと「石を持っていない」ため記憶することが難しくなります。

よって、一番よい練習方法として「ネット碁」で対戦した棋譜を「碁盤」に並べ返すのが良いでしょう。

これなら正確な棋譜も残り、記憶に落とし込んでいくこともできます。

大切なのは「考える習慣をつける」ことです。

対局中に「後で並べ返すこと」を意識するだけで、今までより格段に着手の精度が良くなります。

そして実際に並べ返して反省することで、さらに着手の精度を上げることができます。

そういった地道なトライ&エラーの繰り返しによって、日々着実に棋力を積み上げていくしかありません。

予習(詰碁・棋譜並べ)、テスト(実戦)、復習(並べ返し・検討)の繰り返しです。

少しずつでも続けていくことで、先々に大いなる成果をもたらすことができるでしょう。

「棋譜(打ち碁)の並べ返し」を習得したとき、あなたの勉強の幅がグンと広がることを保証します。