「囲碁で勝てなくなったときの対処法とは何か?」について考察していきます。

囲碁における勝てないときの対処法

アマチュアの誇り

囲碁を始めてから数年も経つと誰しもスランプに陥ります。

「最近どうも勝てないな」「負け癖が付いてしまったな」という方も多いのではないでしょうか?

囲碁で勝つのはそれ相応に大変なことです。

置き碁の白番ならまだしも「互先」では力が拮抗しているため、わずかな油断が勝敗に直結します。

置き碁の黒番なら尚更です。

どうしても勝てなくなったときは「なぜ勝てないのか?」を真剣に考えてみましょう。

このとき重要なのは「なぜ負けるのか?」ではなく「なぜ勝てないのか?」という疑問です。

「負け」というのは原因がはっきりしている場合が多く、検討することで課題が明確になってきます。

しかし「勝てない」というのは「何が原因で負けたのか?」がはっきりしない状態のことです。

この状態に陥ると最悪何年間もスランプを脱することができなくなってしまいます。

無論、一勝もできずに負け続けるわけではありません。

ネット碁「初段」であれば、負け続けて「3級」くらいまで落ちれば自然と勝てるようになってくるでしょう。

点数制の碁会所でも同じです。要は「棋力を下げれば」勝てるようになります。

ところが「囲碁教室」や「囲碁会」のような申告制のところでは、棋力を下げずに負け続けることも十分あり得ます。

「見栄を張らずに一度棋力を下げてみては?」なんて軽々しく言えるわけがありません。

プロ棋士以上に「段級位」はアマチュアの誇りであり、勲章のようなものです。

プロは当然ながらすべての手合いが「互先」です。

「勝ち負け」に生活が懸かっているプロ棋士にとって「段位」など、ほとんど飾りのようなものです。

世間的には「初段」よりも「九段」の方が評価されますし、営業面での差も大きいでしょう。

しかし公式戦の舞台で必要なものは今まで培ってきた「己の実力」のみです。

過去の実績や年齢はまったく関係ありません。

プロである以上、小学生でも90歳を超えていても等しく「結果」だけを評価されます。

スポーツの世界や将棋界とは違い、囲碁棋士は自ら「引退」しない限りずっとプロを続けていられます。

大手合いの勝ち星による「昇段」など、棋士生活を長く続けていれば自然と上がっていきます。

だからこそ、プロ棋士に余計な肩書は不要です。

野球選手に「段位」を付けるのは滑稽ですし、一軍で活躍できなければ解雇されても仕方ありません。

過去にどんな栄光を掴み取っていたとしても「今現在」の「結果」を求められるのが、競技を超えたプロの在り方でしょう。

その点、アマチュアはどうあれ趣味の範疇ですから勝ち負けに固執することはありません。

ただその分「肩書き」を得ることは囲碁を楽しむ上で欠かすことができません。

誰しも「初段」の栄光を掴み取るために頑張っていますし、初段になってもさらなる高みを目指すものです。

10級のときの「勝ち」と初段になってからの「勝ち」では、まったく価値が異なります。

アマチュアにとって「勝ち負け」とは必ず付くものですから「いつ」「どこで」「誰に」「勝ったのか」が最も重要なのです。

そのため棋力を下げてしまっては、せっかく築き上げてきた「権威」が脆くも崩れ去ってしまいます。

アマチュアだからこそ「世間体」や「見栄」が何よりも大切であり、「段級位」は今まで努力を積み重ねてきた証明なのです。

染みついた悪癖

囲碁教室や囲碁会では段級位という名の「地位」をはく奪されることはありません。

しかしネット碁や点数制の碁会所では負けるとポイントが下がっていき、一定以上負けると有無を言わさず降格になります。

アマチュアにとって降格とは自身の「名誉」を傷つけられるばかりではなく、進歩が後退してしまったかのような錯覚に陥ります。

一段一級下がるだけなら堪えられますが、2,3子以上下がってしまったら精神に多大な影響を及ぼします。

「もうこれ以上ダメかも・・・」と思い悩んで、本気で囲碁を辞めてしまおうかと考えてもおかしくありません。

それほど「段級位」という棋力の指標はアマチュアにとっての希望であり、心の拠り所なのです。

囲碁を始めて1年未満の方なら「もっと勉強しましょう」というアドバイスが適切でしょう。

深刻なのは囲碁歴「数年」の上級者・有段者の方です。

下手をすれば、囲碁歴「十数年」あるいは「数十年」の方でもスランプに陥ってしまうかもしれません。

何年も囲碁を打ってきて未だに初級者・中級者の方は「対局不足」または「勉強の仕方が間違っている」可能性が高いと判断できます。

適切な勉強方法で対局を重ねれば、10年以内に「5級」の壁は突破できるはずです。

とはいえ、初級者・中級者の方こそ「勝てない」状況が長らく続いて疲弊しきっていることでしょう。

そんな「勝てない」あなたに「勝てない理由」をわかりやすく説明していきます。

主な理由は以下の通りになります。

・対局過多で一局が雑になっている

・手拍子が癖になっている

・同じ打ち方(戦法、戦術)を繰り返している

・変な癖(考え方)が身に付いている

・対局のみで本や指導碁で勉強していない

このようにあなたの気づかない「悪癖」を直さない限り、スランプを脱することはできません。

上記の中でも一番多いのは「対局過多で一局が雑になっている」ことでしょう。

上達に最も欠かせないのは「対局数」であり、一定の対局数をこなしていれば自然と上手くなっていくものです。

人それぞれ上達のペースは違えど「打つだけ」で一桁級になることは間違いありません。

若い子たちや頭の柔らかい人なら「打つだけ」でも初段の壁を突破できるでしょう。

ただし自己流にはいずれ限界が訪れます。

碁会所やネット碁で毎日のように何局も打っている方のほとんどは上級者~有段者になっています。

※ネット碁は棋力の基準がやや高めなので、日本棋院の免状や町の碁会所を参考にしています。

そういう方々の対局によって得られる伸びしろはもはやほとんど残っていません。

今まで打てば打つほど棋力が向上してきたにも関わらず、途中からどうしても上に行けなくなります。

するとさらに対局を重ねようとして一局打つのに大した時間をかけず、打ち方も次第に雑になっていきます。

本来なら互先でギリギリの勝負をしているはずなのに、雑に打ってしまったら勝てるわけがないでしょう。

「手拍子が癖になっている」のも同じような理由です。

対局を重ねてどんどん上手くなっているうちは良いですが、上達が止まってしまうと手拍子は「雑に打っている」だけの悪癖でしかありません。

そんな悪癖に輪をかけて「同じ打ち方(戦法、戦術)を繰り返していたり」「変な癖(考え方)が身に付いている」ならいくら対局しても無駄というものです。

負ければ負けるほど「負けた分を取り返そう」と躍起になってしまい、何の工夫もないただ打つだけの勝負を繰り返してしまうでしょう。

「勝てない」悪循環を断ち切るには、染みついてしまった悪癖を取り除くことが必要不可欠になります。

セルフオリンピックとデトックス

悪癖を一掃するにはあなた自身が生まれ変わらなければなりません。

そのためには一度、戦略的に「囲碁を辞める」ことです。

一定期間「休肝日」ならぬ「休局日」を設けて囲碁からしばらく離れます。

悪癖の重症患者ほど「休局日」を長く取って、脳を休ませると良いでしょう。

そしていざ囲碁に帰ってきたら以前のような対局数をこなしてはいけません。

対局数を1日1回、もしくは週2,3回に減らしてみましょう。

これまで1日5,6局も打っていた方にはこれくらいの荒療治が必要です。

1週間のうちに2,3回しか打つチャンスがないとすれば、一手一手を軽々しく打つわけにはいきません。

パタパタと打ってしまったらあっという間に一局が終わってしまいます。

このように自分自身で対局数をコントロールすることを「セルフオリンピック」と言います。

4年に1度のオリンピックにすべてを賭けるように、あなた自身で対局のハードルを上げるのです。

普段の対局だけではなく、大会の出場機会も減らしましょう。

「一局の勝ち」が軽くなると「一局の価値」まで軽くなってしまいます。

逆に一局の勝負を重くすることで、一局の価値を高めます。

しかし単に対局数を減らすだけでは、まだまだ不十分です。

「休局日」は囲碁から完全に離れますが、戻ってきたら囲碁の「勉強」に力を入れましょう。

棋書を読んだり、講座を受けたり、指導碁を申し込むなど上達するためにできることはたくさんあります。

「対局のみで本や指導碁で勉強していない」これは対局不足の方を除いて、上達できない最大の原因となっています。

囲碁では勉強することが「インプット」対局することが「アウトプット」に相当します。

もちろん対局で得られる成果もありますが、詰碁や棋譜並べをしてしっかり勉強することで客観的な知識を得ることができます。

対局するなら「検討」とワンセットで行うことが望ましいでしょう。

打ちっぱなしにして次々と対局していては、客観的な知識を得ることができません。

できれば上手の方に協力してもらい、局後の検討に重きを置いて教えを乞うのがスランプを脱するための近道になります。

とにかく一度、囲碁から離れて頭を空っぽにしてから心機一転真っ新な気持ちで勉強し直すことをお勧めします。

「対局過多」「手拍子」「同じ打ち方の繰り返し」「変な癖(考え方)」「勉強しない」これらの悪癖はいわば「アル中の酔っぱらい」と何ら変わりありません。

「飲み過ぎ」「手が震える」「同じ話を繰り返す」「自己中」「人の話を聞かない」に置き換えるとよくわかります。

ちなみに「手拍子」もはや脊髄反射になっているので、「手が震える」よりも厄介な症状だと自覚しておきましょう。

手拍子が癖になっている方は、まだ症状が浅いうちにしっかり治してください。

変な癖(考え方)が身に付いている方は、医師ではなくインストラクターの診断を受けてみてください。

その他の症状の方は「囲碁デトックス」した後、たっぷりと栄養(知識)を補給してください。

ビタミンと同じく、知識は取り過ぎても頭から流れ出るだけで害などありません。

囲碁における「負け」には必ず原因があり、改善を繰り返していくことでいずれ勝てるようになります。

一方で「勝てなくなる」のは盤上に原因があるのではなく、あなた自身の習慣に原因があるのです。

これを機にスランプを脱して、心身ともに清々しい気持ちで再び対局を楽しみましょう!

※言い忘れましたが「セルフオリンピック」という言葉は私のオリジナル用語です。

あらかじめご了承ください。