
「COSUMIと囲碁クエスト」について考察していきます。
COSUMIとは?
「COSUMI」とは囲碁AIの一種であり、ブラウザで遊べるフリーゲームです。
以前よりもコンテンツが増えており、9路盤のレベル5ではアマ七段相当の実力を誇ります。
初心者の方にとっては非常に有難い入門ツールと言ってよいでしょう。
なぜなら、初心者の方ほど一人で勉強しようとするからです。
「まだ人と打つほどのレベルじゃないから」なんてセリフは初心者の常とう句でしょう。
実際には「人と打つようになってから」が本当の上達の始まりなのです。
「人と打つのはもう少し強くなってから」と言っていては、飽きてしまうのも時間の問題です。
対局しかコンテンツのない「無料のネット碁」も同じようなものです。
囲碁を始めたばかりという方は、何はともあれ「面と向かって人と打つ」のが何よりも大切でしょう。
そして仲間ができれば、対局するのもより一層楽しくなります。
※興味のある方はこちらも合わせてご覧ください。
しかし現実的には初めからそこまで一念発起して行動することはできません。
AIとの対戦は人と打てるようになるまでの「つなぎ」と考えておきましょう。
上達するためではなく、気持ちを外へ向けるまでのちょっとした練習のつもりでやってみるとよいかもしれません。
さて「初心者にお勧めのちょっとした練習」なんて言葉を使いましたが、実はCOSUMIのレベルは相当なものです。
もし飽きることなくずっと続けられるのであれば、対局はCOSUMIだけで十分でしょう。
中でも特に難しいのは「7路盤スペシャルバージョン」です。
囲碁における「最小盤」である7路盤のコミは9目となっています。
コミを体感するのは初心者にとって難題ではありますが、7路盤を使うことにより「コミの価値」を実感しやすくなります。
初心者だけではなく、有段者の方にもぜひ一度試していただきたいものです。
5,6,7,8路盤と9路盤のレベル0には「検討」において「○×判定」があります。
例えば初手から盤の端っこに石を置くと、局後の検討図において正解の場所が表示されます。
ただしCOSUMIが示す「正解」とは決して「正確なもの」ではありません。
とはいえ初心者には一定の指標として心強いのではないでしょうか。
1人で強くなろうとするなら、実戦的な目安を得ることが必要不可欠でしょう。
本を頼りにしようにも「同じ場面」が出てこない以上、初心者の役に立つとは到底思えません。
COSUMIを愛用している生徒さん曰く「○×判定されるのは良い」とのことです。
初心者にとっては十分使える指標と言ってよいでしょう。
9路盤と13路盤のすゝめ
この記事において初段になるための最低条件は「1000局」であると説いています。
しかしこの「1000局」とはあくまでも19路盤での対局のことです。
9路・13路盤では、もっと多くの対局数が必要となります。
COSUMIの9路盤における最高難易度はアマ七段に相当しますから、ひたすら9路盤で打ち続けても初段には到達できるでしょう。
とはいえ9路盤であれば、1日3局を目安に時間をかけて打つ必要があります。
毎日継続していくと1年後には1000局を超えます。
ただ、根気よく続けられたとしても「5級」がせいぜいでしょう。
囲碁の「初段」とはそう甘いものではありません。
9路盤なら19路盤の「3倍」は対局数をこなしたいものです。
勿論、誰にでもなれる可能性はあります。
しかしそれは「高卒レベル」の知識は誰にでも身に付くと言っているようなものです。
小・中の義務教育を経て高校卒業に至るまで、皆さんはどれくらいの時間を授業に費やしたのか思い出してみてください。
積み重ねた時間を鑑みれば、「やれば誰にでもできる」というのは本当にすごいことなのです。
ましてやそれを大した期間を設けずにやろうとするなら、それ相応の時間をかけなくてはいけません。
3年かけて目指すなら、9路盤を「毎日欠かさず3局」打つことにより初段に到達できるかもしれません。
もしくは19路盤であれば、時間をかけながら毎日欠かさず1局です。
無論、この対局数は「最低条件」になります。
また時間をベースとした場合「1000時間」が初段になるための「最低条件」と言えるでしょう。
19路盤で1局「1時間」なら1000局であり、1局「40分」なら1500局ということですね。
9路盤なら1局「20分」かかるとして、1時間で3局こなせます。
もっとじっくり時間をかけるのであれば、その分だけ対局の質も向上しますから対局数を減らしても一向に構いません。
むしろ「局数」をこなせる9路・13路盤でどんどん打つべきではないでしょうか?
経験者の方には布石のない9路盤での対局は初心者のうちしか効果がないと感じるかもしれません。
しかし布石を勉強するのは、有段者になってからでも十分間に合います。
なぜなら囲碁における布石とは「無限」の分野であり、級位者にとって理解できる範疇をはるかに超えているからです。
その点では、狭い盤でも起こり得る「中盤」と「ヨセ」に関しては級位者にも分かりやすいでしょう。
囲碁における中・終盤とは「有限」の分野であり、まさに「基本」とされる知識が必要不可欠となります。
具体的には「手筋」と「詰碁」です。
この2つさえ習熟していれば、初段になれるのは想像に難くないでしょう。
ただ狭い盤には「遊び」の要素が少ないという欠点があります。
9路・13路盤を使って普及活動をするのは大いに賛成します。
とはいえ19路盤よりも良し悪しがはっきりしているため、厳しいと感じてしまうかもしれません。
「囲碁クエスト」というアプリでは、9路・13路盤を使ったネット対戦ができます。
このアプリをお勧めできる棋力は「有段者以上」です。
囲碁の基礎である「有限」の分野を習熟している有段者の方なら、狭い盤でも問題なく楽しめるでしょう。
あなたが思っている以上に狭い盤とは決して「簡単なもの」ではありません。
19路盤には「無限に広がる」難しさがあります。
それに比べて9路・13路のような狭い盤では「知識」を求められる難しさがあります。
「アタリ」に関してどのくらいの知識を持っているのか?
「アタリ」とはシチョウを始めとする「手筋」から3目中手を始めとする「死活」まで、部分的な石の接触によるあらゆる知識のことを言います。
「ダメヅマリ」も一言で表すのなら「アタリ」のことです。
「最後までダメヅマリを狙っている」というのは「アタリにして取ってやろう」という意味になります。
まだ「カケ眼」に対する知識も乏しい初心者のうちでは、狭い盤ですぐに石が接触してあっという間にやられてしまうことでしょう。
これでは囲碁を続けていくモチベーションを保つことができません。
囲碁における勝ち負けとは将棋のようなはっきりしたものではなく、もっと「アバウト」なものなのです。
「王様を殺される」という何とも悲痛な思いを将棋ではしなくてはいけません。
しかし囲碁はあくまでも「領土の争い」ですから、相手の土地に対して自分の土地を持つことができます。
特に19路盤のような広い碁盤であれば、たとえ最後は負けたとしても「自分の領地」を開拓していく楽しみがあります。
9路盤のような狭いフィールドでは石を取るか、取られるかだけの世界になりかねません。
まさにそれこそが初段になるために必要不可欠なことですが、最初からストイックにテクニックを追及していくのはわずかな人にしかできないことではないでしょうか。
逆に5級以上の方でどうしても初段になれないと悩んでいる方には、9路・13路のような狭い盤で練習してみることをお勧めします。
囲碁のはっきりした分野をしっかり学ぶには狭い盤は最良の道具となるでしょう。
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ネット碁のすゝめ
ここからは囲碁クエストについて話して行きましょう。
最初に申し上げたように初心者の方にはネット碁はあまりお勧めしていません。
やはりどんな分野においても「続けていくこと」が最良の上達方法であり、それには仲間を見つけて一緒に楽しむことが一番であると考えているからです。
囲碁クエストはPCやスマホで遊べるアプリであり、対人戦なのでネット碁と同じなのです。
基本的に9路盤、13路盤での対局が中心となっているため、有段者以上の方に特に人気のアプリとなっています。
ネット碁あるあるとして「25級」などとなっているにも関わらず、明らかに強い相手であることはよくあります。
これはいろんな要因によるものですが、囲碁クエストの場合はいたってシンプルな理由です。
初めに自己申告で段級位を設定するのではなく、誰でも始めから「30級」スタートになります。
アマ六段の私が新規で始めても「30級」からスタートして、対戦を繰り返して徐々に棋力を上げていくしかありません。
こればっかりは「仕様」によるものなので、致し方ないでしょう。
一般的なネット碁では「自己申告」によって暫定的な棋力を決めていますが、それによる弊害も当然あります。
囲碁は勝たなくては面白くないので、何かと理由を付けては棋力を下げようとします。
「私なんてまだまだ大したことないから」という謙遜は本心であっても適正でなければ迷惑なだけです。
また「棋力」に関しては認定免状、碁会所、ネット碁、国によって一様ではありません。
そして個人によっても「その時々」で違うくらいなので、あまり目くじらを立てても仕方ありませんね。
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囲碁クエストを始めとするネットでの対人戦を行うときにはいくつか気を付けなくてはいけません。
注意点の筆頭として挙げられるのは「マナー」の問題です。
匿名ゆえの弊害になります。
特に多いのは「途中退席する」また「終局合意しない」ことの2点でしょう。
「途中退席」については「事故」であることがほとんどです。
つまりネット碁ゆえにネット回線が切れてしまい、最悪そのまま戻ってこれないといった事態です。
これは私自身が何度も経験していて、ネット碁を利用したことのある人なら必ず悩まされる問題でしょう。
「囲碁クエスト」のようなアプリの最大のメリットはスマホでどこにいても気軽に遊べることです。
そしてこの最大のメリットゆえに「回線切断」という最大のデメリットを生むことにもなっています。
ネット社会におけるリアルタイムのコミュニケーションはまだまだ不完全ということです。
ネット環境に関してはお互い様なので、相手に理解を示してあげましょう。
とはいえ、タイミングによっては「投了」せずに「嫌がらせで消えたのかな?」と思ってしまうこともしばしばあります。
ここら辺はグレーゾーンなので、あまりカリカリしないで泰然自若として対局に臨んでみてください。
あからさまなのは「終局合意しない」ケースになります。
まだ初心者の方は「終局」の形がわからないことも多いので、棋力によっては致し方ありません。
本当にまだ終わっておらずに終局してしまっては、整地の機能が正しく反応してくれません。
しかし中には明らかに嫌がらせで終局しない人もいます。
こちらの嫌気が差すまでひたすら無駄手を打つようなひどいことをしてきます。
なぜ終局に至るまでまともに打っていた人が急に態度を変えてそのようなことをしてくるのでしょうか?
結局のところ「負けたくない」一心なのです。
意味ないですけどね。そんなことをしてもお互いに時間の無駄でしょう。
とにかくマナーの悪い人には下手に付き合わずにさっさと投了して次に進むことです。
「勝ちにこだわる」からこそマナーの悪い人が現れるし、それにイライラしてしまうのです。
ネット社会とはいえマナーの悪い人は「ごく一部」です。
いずれ必ず淘汰されていくので、それまで極力相手にしないようにしましょう。
ネット碁を打つときに皆さんは「囲碁クエスト」のような無料のアプリや無料登録できるところで始めるかと思います。
きっかけとしては素晴らしいのですが、続けていくには不十分なことも確かでしょう。
「対局」だけではどうしても長続きしません。
碁会所や囲碁教室では囲碁を打ったり、学ぶことよりも「〇〇さんに会いに行く」ことが目的になっている方が数多くいます。
とある初級者講座では長年通っている生徒さんが授業中に寝ていて、終わってから皆と食事に行くのを楽しみにしているなんてことも起きています。
私としては素晴らしい現象だと思います。
囲碁を打つ、強くなりたいだけでは続けていくモチベーションを維持できないでしょう。
ネット碁を続けていくのであれば、有料のコンテンツが豊富なところに登録するのが定石です。
月に2,3000円出していつでも打ち放題ですから、碁会所や囲碁教室に通うのに比べてコストパフォーマンスは十分に満たされます。
お勧めなのは「パンダネット」です。
当ブログでも棋譜解説の資料として紹介しています。
観戦のみなら無料でできるので、ぜひ一度覗いてみてください。
棋力に関しては「15級」が下限となっており、その下には「ビギナー」の位しかありません。
囲碁を始めたばかりの初心者の方には少し敷居が高いかもしれませんね。
COSUMIを始めとする「対面しないネット対戦」はいくらでもあります。
囲碁クエスト然り、パンダネット然りです。
囲碁を上達していく上で大切なのは「継続していく」ことに他なりません。
あなた自身のペースに合った囲碁との付き合い方を見つけていきましょう。
気づいたら「囲碁歴何十年」となっているかもしれませんね。