「効率のよい囲碁の上達法とは何か?」について考察していきます。

効率のよい囲碁の上達法

進化と発展

先日「宝酒造杯東京大会①」が開催され、都内の多くの囲碁ファンが奮って参加しました。

今回のあなたの成績は如何ほどでしたか?

恐らく多くの方が「成績不振」を感じています。

それは当然のことです。

なぜなら宝酒造杯は棋力を下げて申告する方が後を絶たず、正規の申告段級位では返り討ちにされるのが目に見えているからです。

また棋力を下げて出場している方は「勝って当たり前」ですから、1,2敗もすれば落ち込むのも無理はありません。

勝ち越し、優勝によって勝利の美酒を手にした方も「今年やっと勝てたか」とホッとしていることでしょう。

囲碁大会に出場する多くの方は「勝利」と「上達」に対する飽くなき欲求があります。

そのためには日々の勉強が不可欠ですが、普段の生活の中でなかなか囲碁をする時間が取れないのが実情です。

対局は勿論のこと、詰碁や棋譜並べもそれなりの時間を要します。

とはいえ、このままでは秋冬の「宝酒造杯東京大会②」のときも大した勉強をせず臨むことになります。

結果は火を見るよりも明らかですね。

戦国時代に剣の腕を磨かずに戦場に出るようなものです。

いくら普段から畑を耕すのが忙しいとはいっても、何もせず武功をあげられるほど戦場は甘くありません。

死にたくなければ、日々の鍛錬が必要不可欠になります。

では、どのようにして時間を確保しつつ勉強していけばよいのでしょうか?

囲碁に限らず、勉強には「質」と「量」が問われます。

いくら量をこなしたところで「質」が低ければ効果は薄いでしょうし、質を高めたとしても「量」をこなさなければ同じことです。

そして「質」と「量」の両方を高めると必然的に「時間」がかかります。

現実問題として、囲碁の勉強に費やせる時間はそんなに取れません。

もしあなたが1日中碁会所に入り浸れるような身分なら、とっくの昔に有段者になっています。

仕事を引退されたシニアの方も、実は言うほど暇ではありません。

1日24時間しかない中で、人それぞれやるべきことはたくさんあります。

だからこそ、より効率的な勉強方法が求められています。

あなたは効果的に囲碁の勉強をしていますか?

「そんなことがわかれば苦労しないよ」と言う方もいるかもしれません。

しかし21世紀、令和を迎えた現代において「非効率な」勉強方法ほど馬鹿らしいことはありません。

今どき火をおこすのに薪を集める必要がありますか?

ガスを引いてガスコンロを買ってくれば、いつでも手軽に火をおこせます。

まさか摩擦で火をおこそうと考える人はいないでしょう。

そういうことは河原やキャンプ場で「楽しみ」としてやることであって「生活」の中では不要なことです。

昔の人がやっていたことを「時間をかけず」こなしてこそ、人類の「進化」または「発展」と言えます。

余談ですが、山登りには「地図」が必須との考えはもはや過去の話です。

今は「スマホ」のGPSが素晴らしいほど優れているため、地図を持参して現在位置を読み解く必要はありません。

こういうことを言うと「何を言うか、山行中に電池が切れたらどうするんだ」というご意見を頂くかもしれません。

しかし当然ながら「バッテリー」は持参します。

どう考えても地図を読み解く時間と労力のほうが「勿体ない」に決まっているでしょう。

このように古い価値観に縛られて、新しい価値観をいぶかしがるのは滑稽というものです。

新しい方法があるのなら、どんどん取り入れて「進化」並びに「発展」を目指していきましょう。

具体策とは?

勉強の「質」と「量」をこなすには「時間」がかかります。

その時間をいかに短くするのか、というのが本題になります。

あなたは囲碁の「強い人」と「弱い人」の差が何かわかりますか?

両者の実力には明確な「差」が生じています。

結論から申し上げると「ザル」かどうか、といった違いでしょう。

強い人は学んだことを頭からたれ流したりしません。

しっかりと頭に定着するように努めます。

対して、弱い人は学んだことをいちいち忘れてしまいます。

その光景はさながら砂漠に水をかけるかのようです。

「砂漠に水」は言い過ぎかもしれませんが、「ザル」なことは確かでしょう。

「それはさすがに言い過ぎです」

「わたしは失敗からちゃんと学んでいます」

という殊勝な方も中にはいるかもしれません。

では、そんな勉強熱心なあなたに1つ質問します。

「あなたは大会で負けた敗因を覚えていますか?」

この質問に「イエス」と答えられないようなら、やはりあなたの学びは「ザル」としか言えません。

局後の検討まで求めるわけではありませんが、最低限「敗因」だけは覚えておいてもよいのではないでしょうか?

「1日以上経っている碁の内容なんて覚えられません」

なるほど、至極真っ当なご意見ですね。

確かにアマ六段の私でさえ、その日のうちに並べ返して棋譜を保存しなければ忘れてしまいます。

忘れるのなんて当たり前の話です。

それを「どうすれば、忘れないようにできるのか?」と前向きに考えることが大切でしょう。

その方法はいたって単純かつ明快です。

「困った場面をスマホに撮って保存する」

たったこれだけです。

この10秒もかからない作業をするか、しないかによって上達の効率が大きく変わります。

「対局中にスマホで撮影なんて、マナー違反じゃないの?」という声が聞こえてきそうですね。

残念ながら携帯が普及して早20年経ちますが、いまだにそういった「マナー違反」を聞いたことがありません。

誰も文明の利器を使いこなせていない証拠です。

そもそも対局前、あるいは撮影前に一言「気になったところはスマホで撮りますが、ご容赦ください」と断りを入れれば済む話でしょう。

「失礼します」と言ってトイレに立つのと何ら変わりありません。

1局のうち2,3回ほど撮れば十分ではないでしょうか。

それ以上は対局に差し支える(集中できない)可能性があります。

あとで強い人にアドバイスを乞うこともできますし、自分自身で反省するのもよいでしょう。

とにかく学びの基本である「失敗」や「疑問」を解決せず、そのまま忘れてしまうのはあまりに非効率的です。

普段、忙しいときでも1日中スマホをいじらないことはないはずです。

その少しの時間を利用して、過去の失敗を見返すのは上達への確かな糧となります。

特に「実戦詰碁」は保存しておくに越したことはありません。

対局中に「まずい」と思ったり「しまった」と感じたら、迷わずにその場面を撮りましょう。

詰碁の本を解くよりもはるかに「実戦的」な問題であることは疑いの余地もありません。

実戦詰碁をどんどんストックしていけば、あなただけの立派な「オリジナル詰め碁集」の出来上がりです。

実戦の失敗(または成功)を基にしているので、「同じ過ちを繰り返さない」ためにはうってつけでしょう。

これは「ネット碁」においても有効な手法になります。

ネット碁は棋譜が残る場合が多いにもかかわらず、見返そうとする人はあまりいません。

過去の対局を1から見直すのは、時間がかかって大変なことは承知しています。

だからこそ「ひと場面」だけでよいのです。

自ら対局中に「敗着」もしくは「敗因」を受け入れ、それを残して見返すのは辛い限りかもしれません。

しかしスマホに保存されたそれらのデータはどんな棋書にも勝るあなただけの「良書」と言えるでしょう。

あなたの上達や勝ちへのヒントはあなたの碁の中にしかありません。

それを残さずして効率のよい上達などあり得ないと心得ておきましょう。

SNSの活用

ひと場面を撮るだけでは、前後の関係を思い出せず記憶があやふやになりかねません。

できれば当時の反省をひと言書き加えておくとなおよいでしょう。

そのためには「SNS」の活用が効果的です。

先ほど「強い人にアドバイスを乞う」と言いましたが、周りにアドバイスしてくれる人がいない方もいると思います。

しかし心配には及びません。

今はネット社会なので、ツイッターやインスタグラムにアップすれば気軽に返信がもらえます。

「そんなのやったことないから不安です」という方は臆せず一度やってみましょう。

囲碁好きの方はとかく「口出し」したがるものですから、フォローし合っていれば誰かしら声をかけてくれるはずです。

仮にインストラクターの方に有料で「ワンポイントアドバイス」を受けるのも有効でしょう。

正直、対局+検討するのは時間がかかって仕方ありません。

これは囲碁教室でもネット指導でも同じことです。

できれば「この間、こういうことがあって・・・」と図を示したうえで質問されたほうが100倍勉強になると感じています。

なぜなら指導碁のような「お稽古」はあまり実戦的とは言えないからです。

あなたの生の声、その悩みをじかに届けてもらうことに価値があります。

それにだいたい10局、あるいは10場面も見れば、あなたが苦手としている分野の傾向と対策がわかります。

はっきり言って指導碁を一局打ったくらいでは、とてもあなたが抱えている悩みを解決に導くことはできません。

指導碁になるとやけに「よい碁」を打つ方がたくさんいます。

それはこちらが突拍子もない手を打たないからです。

指導碁ではなく、普段の実戦では「泥仕合」が相場と決まっています。

その中で起こる変化にこそ、上達のために必要な情報のすべてが含まれています。

あなたの碁を見るのに「一局」は必要ありません。

むしろ布石~ヨセまで見てからアドバイスするのは逆効果です。

なぜなら、あなたが気にも留めていない「余計な情報」まで汲み取ってしまうからです。

あなたが自覚していない弱点や課題を教えるのは時期尚早というものでしょう。

囲碁とは「気づき」の連続によって、徐々に視界が開けていくものです。

「気づき」とは人から教えられて身に付くものではありません。

あくまでも己自身の気づきによってのみ、真に体得することができます。

最初から「分からないことを教わろう」としてはいけません。

実戦を通して得た「疑問」や「悩み」がベースになければ、お互いに時間のロスになってしまいます。

SNSなら普段から気軽に悩みをつぶやいたり、投稿できるのであなた自身の「備忘録」としても活躍します。

万が一誰からも返信がなければ、積極的にこちらから「いいね」を押して関わり合いましょう。

ただし「自己解決」が基本のため、どうしても分からないことを聞くように心がけてみてください。

質問するのは、何も対局内容だけではありません。

詰碁の本で納得のいかないところ、棋譜並べで納得のいかないところ、プロの対局で納得のいかないところなど様々です。

あなたの納得のいかないところが上達の「ツボ」ですから、気になるところはどんどんスマホに保存しましょう。

囲碁の話を他人と共有するには「画像(写メ)」が欠かせません。

ネット(SNS)であれ、リアルであれ質問するなら最低限「画像(写メ)」を示しましょう。

言葉だけで相手に汲み取ってもらうのは、著しく配慮に欠けます。

また碁盤の上で回答を得たのなら、迷わずに撮って保存しましょう。

アドバイスを頭からたれ流すのはもったいないどころか、お互いにとって時間のロスに他なりません。

プロ棋士との指導碁であれば「記念」になるので、撮るのは盤上ではなく先生との2ショットでしょう。

しかし上達したいなら、貴重な時間を割いて打っている目の前の碁をワンショットでも撮りに行くべきです。

対局中は「石」を取るのも「地」を取るのも結構です。

それに加えて、スマホで「疑問を抱いたポイント」を撮るようにしましょう。

疑問が解消してからもたまに振り返ってみると同じ失敗を繰り返さずに済みます。

失敗から学ぶことが上達の基本であり、王道なのです。

その失敗を忘れないように残しておくことは決して恥ずかしいことではありません。

むしろ失敗を呆けて忘れてしまうほうがよっぽど間抜けというものでしょう。

人それぞれ時間には限りがありますから、なるべく囲碁に接する時間を有効活用したいものですね。

撮るのはたった1枚、ひと場面だけで構いません。

その1枚の積み重ねによって、あなたの上達への道筋が描かれていくのです。