「どうやって囲碁のスランプを脱出するのか?」について考察していきます。

囲碁のスランプを脱出する方法

スランプの原因とは?

あなたは今、順調に上達していますか?

それとも、思い通りに勝っていますか?

大抵の方は「そんなことない」と感じているはずです。

なぜなら現実の出来事よりも理想のイメージのほうがはるかに高いからです。

囲碁におけるスランプとは「伸び悩み」であることが大半でしょう。

仮に宝酒造杯などの大会で「3勝1敗(級位戦)」「3勝2敗(有段戦)」といった好成績を挙げたとしましょう。

次に目指すのは当然「優勝または準優勝」「全勝もしくは4勝1敗」となります。

同じ「3勝1敗」や「3勝2敗」でも一回戦負けせず、勝ち上がってからの負けならそれだけ価値も高まります。

ところが翌年出場してみたら「2勝2敗」「2勝3敗」と振るわず、大した成績を残せなかったと「錯覚」してしまいます。

人は何か1つ目標を達したら、すぐに次の目標を立てて挑もうとします。

しかし少し立ち止まってよく考えてみてください。

もし宝酒造杯などの大会で3年連続同じような成績なら、それは決して伸び悩みではありません。

毎年「安定した成績を残している」と捉えたほうが自然でしょう。

人によっては常に高い目標を持って物事にチャレンジしている方もいます。

とはいえチャレンジする以上「つまづかない」というのは絶対にあり得ません。

つまづいたときの対処法、考え方を持ち合わせていなければ「挫折」することにもなりかねません。

スランプの原因は主に次のようになります。

・理想、目標が高すぎる(理想、目標に見合う努力をしていない)

・時間の経過を無視している(早くに結果を求めようとし過ぎている)

・気持ちが落ちてきている(情熱が冷めてきており、やる気が起きない)

・イップス症状に陥っている

・原因不明の状態である

上から順に症状が重くなっています。

「理想が高すぎる」というのは何にでも当てはまることでしょう。

よく恋人ができない友人に「あなた理想が高いんじゃない?」とアドバイスすることがあります。

これは裏を返せば「あなた口で言うほど努力してないでしょ?」と苦言を呈しているようなものです。

理想と現実を擦り合わせるには「目標を下方修正する」もしくは「努力目標を掲げる」しかありません。

努力目標とは「今度の大会では絶対に優勝する!」といったアバウトなものではありません。

「今度の大会までに詰碁1000問に挑戦する!」といった具体的な行動を決めるものです。

よく言われる「努力したからといって結果に結びつくとは限らない」という言葉は嘘です。

「努力した分だけ必ず結果が出る」と考えたほうが自然でしょう。

確かに世の中の競争は「椅子取りゲーム」ですから、全員に行き渡る「椅子(結果)」は用意されていません。

宝酒造杯などの大会では、各段級位で優勝できるのは基本的に「1人」と決まっています。

初段戦で優勝を掴み取るのはたった「1人」だけです。

しかし「囲碁初段」になるのは、誰にでもできると思いませんか?

囲碁を1000時間以上取り組めば、初段になれないなんてことはまずありません。

「1000時間はゆうに超えるほどやっているけど、一向に初段になれません」という方は+1000時間ほど取り組んでみてください。

結局のところ「最小限の努力で最大限の結果を求めている」からなかなか結果に結びつかないと錯覚しているのです。

発想を逆転させてみましょう。

「最大限の努力をして最小限の結果で満足する」なら必ず結果はついてきます。

「アマチュア最高峰の七段を目指そう!」「上手く上達できなくても初段にはなりたいな」と考えて取り組みます。

七段を目指して相応の努力を積み重ねてきた人が「初段」になれないわけがないでしょう。

どうしても「理想(目標)>現実(努力)」となってしまうから、努力しても報われないと勘違いしてしまうのです。

もしあなたが「宝酒造杯の初段戦で優勝したい!」と考えているなら、三段を目指すつもりで頑張りましょう。

それくらい努力して初めて「理想(目標)」と「現実(努力)」が釣り合います。

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スランプを脱するためには?

スランプは大抵の場合「勘違い」である可能性が高いでしょう。

「これだけやっているのに全然報われない」と感じているのは、実は気のせいかもしれません。

植物、作物を育てるとき、どんなに頑張っても「すくすく短期間で成長する」というのは無理があります。

毎日、適度な水と栄養を与えて環境を整えさえすれば、成長は「時間の問題」となります。

先ほど「努力」という言葉を使いましたが、何事も「オーバーワーク」はよくありません。

適度な勉強量とそれに見合う休息を取るのが大切なのは言うまでもないでしょう。

つまりどんなに詰め込みで勉強したところで、時間の経過を待たずして成長することはあり得ないわけです。

寝ている間も脳が情報を整理していることを考えれば、「身に付く」というのは何も意識的にやるばかりではないはずです。

時間の経過を無視して上達を早めようとするのは「他者との比較」をしているためでしょう。

「一緒に始めたのにあの人はもうあんなに上手くなって・・・」という気持ちは分かります。

たとえ身近な人でなくとも「頑張るなら短期間で」という方が多いのではないでしょうか?

あなたが「短距離走が得意なタイプ」であれば、短期間の集中的な勉強も効果的かもしれません。

しかしあなたは「中距離が得意なタイプ」あるいは「長距離が得意なタイプ」である可能性もあります。

そもそも「初級」「中級」「上級」と分けたとき、距離に換算すれば「短距離」「中距離」「長距離」となります。

さらに「有段」「高段」「県代表」まで行くと、「登山」「縦走」「クライミング」のような厳しさになります。

はっきり言って「時間をかけて取り組むこと」は必須であり、目指す到達地点に応じて負荷のかけ方を変えていきます。

平地で100メートル進むのに比べて、山道では同じ距離を進むのに倍以上の時間を必要とします。

「初級」レベルなら走ればすぐにゴールできるでしょう。

「中級」「上級」は走り続けなければ、ゴールすることはできません。

「有段」「高段」はそもそも歩くのが基本となります。

稀に「トレイルラン」のように山道を走り抜ける人もいますが、多くの方は歩いて山頂を目指しています。

そして「県代表」ともなれば、その傾斜はいわば「岩山」のそれと何ら変わりありません。

走り続ける、歩き続ける、登り続けるとしても「相応の時間がかかる」ことは頭に入れておきましょう。

もちろん立ち止まってばかりでは、一向に前に進むことができません。

対局で勝てなければ詰碁を解く、詰碁が解けなければ棋譜並べをするなどやれることはいくらでもあります。

その上で「必ず一定の時間がかかる」のは仕方ありません。

やはり努力を「過大評価しがち」であり、そのために失望を免れないのでしょう。

基本的に囲碁の上達とは「ピラミッド」のような積み上げによるものです。

1つステージを挙げたら、その階の土台をしっかりと築かなければいけません。

物事が「トントン拍子に上手くいく」なんて幻想にとらわれないように努めれば、おのずとスランプという錯覚からも解放されるでしょう。

それよりも厄介なのは「気持ちが落ちてきている」場合です。

「囲碁をする気が起きない」「以前よりもやる気を失っている」というのは、想像以上にモチベーションの回復が困難になります。

改善策としては「何もしない」ことです。

中途半端に触れるよりも「徹底的にやらない」という心持ちがモチベーションの回復には効果的でしょう。

これは囲碁に限らず、いろんな物事や人付き合いにも通ずることでもあります。

どんなに好きな人、好きなことでも「付き合い続ける」「やり続ける」となったらマンネリ化するのは当たり前のことです。

マンネリ化を解消する方法としては以下の2つが挙げられます。

・いったん距離を置く。

・サプライズを起こす。

「距離を置く」というのは単純かつ物凄く効果的な手法の1つです。

どんな好きな食べ物でも「食べ過ぎ」によるアレルギー反応は一時的とはいえ必ず起こります。

身体や心が求めていないのに無理して続けるのは、結果的に拒絶反応を出してしまう原因となります。

「勝ち負け」に辟易しているなら、いっそ勝ち負けのない分野に挑戦してみましょう。

料理をする、絵を描く、パズルを解く、ハイキングに行くなど、人と競い合わないことで平穏な気持ちを保てます。

そしてしばらくその状態が続くと、今度は「誰かに勝ちたい」気持ちが沸々と湧いてくるでしょう。

囲碁をしているあなたは元来「負けず嫌い」であるため、放っといても必ず勝負の世界に戻ってきます。

もしくは他の競技を楽しむのもよいかもしれません。

スポーツやボードゲームなど手軽に楽しめる競技はいくらでもあります。

積み上げてきた成果を試すのも勝負の醍醐味と言えますが、経験のない競技をするのもまた面白いものです。

あなたにとって囲碁が「遊びの範疇」を超えているからこそ、やらなければならないことが多いと感じてしまいうんざりしています。

それならもっと手軽に楽しめるゲームでリフレッシュするとよいでしょう。

囲碁を忘れた頃にまた戻ってくれば、きっとマンネリ化は解消されているはずです。

マンネリ化を解消するもう1つの手法として「サプライズ(驚き)」を起こすという方法があります。

すなわち今までやらなかった新たな試みにチャレンジするというわけです。

盤上においては「安全策を取らない」「変わった打ち方をする」といったことになります。

星・小目に慣れている方はいっそのこと「ブラックホール」「中央の一間ジマリ」など試してみてはいかがでしょうか?

囲碁はどこまでも自由なゲームですから、自ら盤上における変化を最大限に引き出します。

盤外であれば、イベントに出かけたり囲碁旅行を企画するのもよいでしょう。

とにかく「いつも通りの環境」を変えることによって、脳や心に良い影響をもたらします。

マンネリ化を脱却することで、今まで以上に囲碁の楽しさ、奥深さを再認識することができます。

重症の場合の対処法

これまで紹介してきたスランプ脱出法はいわば「症状が軽い」場合のものです。

本当に重症なときは地道にリハビリを続けていくしかありません。

スポーツ全般、特にゴルフでよく使われる「イップス」は次のように定義されています。

“精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、突然自分の思い通りのプレーや意識が出来なくなる症状のことである”

これは何もスポーツに限ったことではありません。

精神的な原因による不調は他のあらゆる分野でも起こり得ることです。

決して囲碁も例外ではなく、スランプの大きな原因になる可能性があります。

単純に休んで解決するのなら、誰も苦労はしません。

囲碁は決着するまでに相当の手数がかかりますから、その間の精神的な消耗は傍からでは計り知れないでしょう。

あえて解決策を提示するとすれば、「自信を付ける」以外に適切なよい方法が思いつきません。

野球の場合、投手が打者の頭部にボールをぶつける「危険球」によってイップスになることがあります。

一歩間違えれば、選手生命を奪うどころか「死」へ直結してしまう危険な行為に自信を失ってしまうためです。

一度心に抱えた不安を拭い去ることはそう簡単ではありません。

プロのレベルなら引退に追い込まれても何ら不思議なことではないでしょう。

不安を解消するには「技術の向上」によって確固たる「自信」を得る必要があります。

各分野のプロは日頃から技術の向上に励んでいますから、それも難しいのかもしれません。

しかしアマチュアであれば、技術を向上する余地は有り余るほど残されているはずです。

一番効果的と思われるのは「簡単な詰碁を解く」ことでしょう。

たとえ相手が上手であろうと「凡ミス」や「ポカ」を極力減らせば、そう簡単に崩されなくなります。

あとは「目数」の問題ですが、これは「小ヨセ」を勉強することにより大幅に改善されます。

囲碁の総手数は「200手~300手」が相場です。

級位者の方は複雑な戦いを嫌いますから、せいぜい「150手~250手」といったところでしょう。

そのうち「50手~100手」程度が小ヨセとなります。

最後の小ヨセをそつなく打ちきることで、一局の安定感が大きく増してきます。

アマチュアの好きな分野は「布石」であり、苦手な分野が「ヨセ」なのです。

これは一局の打つスピードを「布石」「中盤」「ヨセ」と見比べれば、おのずと分かります。

アマチュア、特に級位者の方はヨセに入ると打つスピードが途端に遅くなります。

なぜなら石が混み合ってきて、なおかつあちこちに選択肢があり訳が分からなくなるからです。

布石・中盤のほうが級位者の方には「焦点がはっきりしている」ように映ります。

ぱっと見大きそうなところから順に打っていけばよいわけですからね。

とはいえ本来は「小ヨセ」こそ、一手一手の価値がはっきりしていて分かりやすいのです。

そこを重点的に勉強してみると、囲碁の本質が次第によく分かってきます。

囲碁は「死活(石)」と「ヨセ(地)」のゲームですから、そこさえ抑えていれば他のことは適当でも構いません。

イップス脱却のためにはこれ以上、有効な勉強方法はないと言っても過言ではないでしょう。

しかしながら、当然「プロ棋士」や「アマ強豪」にはこの方法は通用しません。

そもそも「死活(石)」と「ヨセ(地)」というのは、囲碁における基本中の基本となります。

囲碁の「強い人」とは、まさにこの2つに長けている人のことを言います。

普段からやっている勉強法では、イップス脱却のために必要な自信を付けることはできません。

自分自身の「苦手分野」に臆することなくチャレンジできる人こそ、本当の意味で「自信」を付けることができるのです。

最善の解決策

スランプにおける最も重い症状とは「原因不明の状態」に他なりません。

解決策が分からないならまだしも、原因が分からないのではどうすることもできないでしょう。

こういうケースでは、スランプを脱したときに初めて「何が原因だったのか?」が分かります。

原因不明のスランプに陥っている方は「周りの話」をよく聞いてみてください。

スランプを脱した方の体験談に耳を傾けることにより、何か自分に当てはまる原因を見つけ出すことができるかもしれません。

実は私も過去2年間ほど「原因不明のスランプ」に陥っていました。

症状としては「囲碁を打つと体調を崩す」という何とも厄介なものです。

当時の私は「苦手分野の克服」に努めていました。

乱戦好きの荒い碁を「落ち着いた棋風」にしようと試行錯誤していたのです。

しかしながら自分に合わない打ち方に矯正しようとしたせいで、知らず知らずのうちに体調に影響を及ぼしていました。

2年後、追い求めた棋風を諦めて打ちたいように打ち始めた途端に体調がよくなりました。

何とかスランプを脱したからこそ、何が原因なのか突き止めることができたのです。

もちろんこれは原因不明のスランプの症状の1つに過ぎません。

「よく分からないけど、勝てない」「いつまで経っても上達しない」といった悩みは誰しも抱えています。

大抵の場合は

・目標に見合った取り組み方をする

・時間の経過を考慮する

・いったん気持ちをリフレッシュする

・基本を学び、自信をつける

これらの方法により問題を解決することができます。

ただし人それぞれ状況や症状が微妙に異なるため、最善の解決策は自分自身で見つけ出すしかありません。

勝つための勉強法も上達するための取り組み方も然りです。

誰もあなたの根幹にある部分は分からないわけですから、「自己解決」を目指すのが一番の近道となります。

まずはあなたが本当にスランプであるのか、そこからよく考えてみましょう。

スランプとしたら、どうやって解決すればよいのか当たりを付けていくしかありません。

地道に己と向き合っていくこと、それがスランプを脱する唯一無二の方法なのです。

是非ともスランプを脱却し、より囲碁が楽しく打てるようになることを心から願っています。