「囲碁における心・技・体を鍛えるために必要なこと」について考察していきます。

心・技・体を鍛えるには

3つの要素

囲碁には「心・技・体」の3つの要素すべてが必要となります。

「気持ち」は「技術」のキレを増し

「技術」は「体力」の助けとなり

「体力」は「気持ち」を支えます。

実際に大会に出ると「体力」がいかに大事か痛感させられます。

1日4局も5局も打つような大会では、勝ち上がっていった後半戦にはすでにボロボロの状態になっていることでしょう。

前半戦でいかに体力を温存できるかが全勝を目指す上でのカギとなります。

そのためには技術の向上が欠かせません。

具体的には「読まなくても」「読める」くらい手筋や形を頭に落とし込みましょう。

時間をかけて読み切れるところを時間をかけずに読めたらかなり楽に打てます。

特に「ヨセ」に関しては「この手何目?」というのを暗記しておくとよいでしょう。

いちいち「どのヨセが大きいのか?」なんて考えていては時間と体力の無駄というものです。

小ヨセなど一局の中で「必ず出てくる」場面の勉強は非常に効率の良い上達方法です。

囲碁には「読める」部分と「読めない」部分があります。

読めない部分を打ち進めるために「気持ち」を強く持ちましょう。

弱気で臨むとチャンスを逸するばかりではなく、ピンチの時にも逆襲することはできません。

布石や中盤を「暗中模索」しているのは相手も同じことなのです。

「気持ち」が一番大事になってくる局面は劣勢のときよりむしろ「優勢」になったときです。

形勢が「良いとき」ほど選択肢が広がり、打つ手も増えて迷いが生じやすくなります。

劣勢のときは何も考えずにひたすら全力で追いかけるだけです。

優勢のときは「畳みかけるか」それとも「安全勝ちするか」といったように勝ちにつながるルートがいくつもあります。

置き碁を考えるとわかりやすいでしょう。

9子局においてどう「勝ちきる」のか、人によって選択肢が違って当然です。

得てして「畳みかける」ように攻めると反撃され、「安全勝ちする」ように守ると追いつかれます。

最善を追い求めていった結果、無理が生じてほころびを突かれてしまっては何にもなりません。

かといって次善に甘んじていては、徐々に相手が息を吹き返してきて形勢不明に陥ってしまいます。

不思議なものでたとえ勝つルートが4つあったとしても、魅入られたようにただ1つの負けルートを辿ってしまうものなのです。

気持ちのコントロールは勝負事において永遠のテーマと言えます。

しかし「体力」を蓄えることで、割と冷静な判断を下すことができます。

疲弊した状態では冷静な判断を下せないばかりか、「一刻も早く勝とう」としてしっかりと読み切ることを放棄します。

落ち着いてじっくり考えるには体力の充実が欠かせない要素になります。

マラソンを走るときに「気持ち」が「体」を支えているように感じるかもしれません。

「精神が肉体を凌駕する」ような意味合いです。

しかし実際には「体力」が残っているからこそ「気持ち」を切らすことなく走りきることができるのです。

人間の体は限界にきたら「もうダメだ」という信号を送ってくれます。

これに抗う術はありません。セーフティー機能はちゃんと働いています。

囲碁は1局においても長丁場であるのに、4,5局も打っていては体力が持ちません。

そのため「気持ち(集中力)」が切れて、着手が雑になる人をこれまでたくさん見てきています。

ちょっと疑わしいという方はネット碁で4,5時間くらいぶっ続けで打ってみてください。

最初のほうは調子よく勝てても後半になるとまったく勝てなくなります。

体力が落ちると気持ち(集中力)が切れて技術を活かすことができません。

逆に言えば、1日1,2局まで対局数を抑えておくことでベストな状態の碁を打つことができます。

技と体

「心・技・体」この3つのサイクルはうまく回れば素晴らしい結果をもたらしてくれます。

当然ながら「技術の向上」をまず第一に考えるべきでしょう。

「心・体」はどの競技でも応用できますが、「技」だけは特定の分野でしか通用しません。

技術の向上を客観的に測る上でわかりやすいのは「時間」です。

布石を同じクオリティーで手早く打つことができるか、ヨセを同じクオリティーで手早く打つことができるかどうかです。

布石のような一局の「始まり」の部分はある程度パターン化することができます。

またヨセのような「終わり」の部分も形が決まっているのでパターン化しやすいでしょう。

布石は相手次第でどう変化するのか読めないと感じるかもしれません。

しかし「A,B,C」の3手読みを常に意識しておけば、そんなに難しいものではありません。

自分自身で着手の価値に優先順位を付けます。

あなたが黒番であるなら「黒A」「白B」「黒C」といった具合です。

もし相手が他の場所へ打ってくるなら「黒A」「白D」「黒B」といったようにあなたの価値観で順番に打っていけば良いのです。

これは全局的な視点でもそうですし、部分的な視点でも使うことができます。

まず全局的な「A,B,C」を決めておきます。

「黒A」と打ったのち「白D」と打つなら全局的には「B」かもしれませんが、「白D」に部分的に対応しなくてはいけません。

そうすると今度は部分的な「A,B,C」を組み立てればよいのです。

初段の棋譜を解説します!【五局目】

囲碁における読みとは?

布石から学ぶ自由な考え方とは?

※興味のある方はこちらも合わせてご覧ください。

囲碁は「勝手読み」が基本となります。

正解の出るところでは正確な読みを必要としますが、正解の出ないところでは「勝手読み」するしかありません。

「自分流」の棋理をしっかり確立することも技術の向上には欠かせない要素でしょう。

囲碁における「体」を鍛えるには棋譜並べが効果的でしょう。

棋譜並べは慣れないと体力の消耗がとても激しいものです。

高段者ならネットの棋譜並べても良いですが、級位者や有段者の方はしっかり盤上に並べることをお勧めします。

「棋譜並べは考えずにポンポン並べたほうが良い」という方もいます。

しかし私の経験上、何も考えずに並べるのは作業であって勉強ではありません。

頭を使って考えるからこそ、疲れるしその分だけ思考が身に付くのです。

最新の棋譜、あるいは古碁を並べるにしてもプロ棋士の棋譜並べには「解説」が必要不可欠です。

解説もなくただ並べるのはやはり「作業」でしかありません。

ある程度は内容を理解していないと自分の頭で考える材料も得られないでしょう。

ネットには棋譜がゴロゴロ転がっていますが、しっかり解説された棋譜を探し出すのは至難の技です。

それだけ「棋譜解説」には価値があります。

※当ブログでも級位者~有段者の方向けの棋譜解説を載せていますので、是非ともご覧ください。

棋譜並べをするのはとても体力を消耗します。

実戦を数多くこなすための「体力づくり」と思って臨むとよいでしょう。

技術の向上を目指すのであれば「手筋・死活」あるいは「ヨセ」を勉強したほうがはるかに効率的です。

棋譜並べは囲碁における「総合力」を鍛えるものであり、何十局もこなさないと効果を実感することができません。

人間は報われないとすぐに「飽きて」しまいますから、じっくり「考える体力」を付けるつもりで励んでみてください。

心と時間

囲碁における「心」を鍛えるには、上手に挑戦することが最も効果的です。

理由の1つに「置き碁」であることが挙げられます。

置き碁は「優位な」状態から始まりますから、気持ちのコントロールが最初から求められます。

すなわち「強気」で行くのか、それとも「弱気」で行くのか?

もちろん「強気」で臨んだほうが良いに決まっていますが、同時に「冷静さ」も兼ね備えていなくてはいけません。

級位者の方は「弱気」傾向が強く、有段者の方は「冷静さを失う」ことが非常に多いのです。

技術的に上手に劣っているのは当たり前のことであり、そこを考えても致し方ありません。

培ってきた技術を思う存分発揮できるように「心」を鍛えるのが目的です。

置き碁で戦うときに上手が一番嫌がることは何かご存知ですか?

それは下手に「時間をかけて考えられる」ことです。

先ほども言ったように技術の向上は「時間」によって測ることができます。

誰もが解ける問題を誰よりも早く解ける人が「一番強い」と評価してよいでしょう。

故に時間をかけずにポンポン打ってくれたほうが上手にとっては有難いのです。

そうすることで小細工を弄せずとも下手が自ら転んでくれます。

早碁であれば、本来の置き石より2つ、3つ多く置いても上手が有利の手合いになります。

現に県代表クラスの人であれば、初段~三段くらいの方に9子置かせても楽々勝つことができます。

しかし時間を使ってじっくり考えられるとミスが少なくなり、上手にチャンスがなくなります。

仕方ないので小細工を弄してどうにか勝ちますが、局数を重ねることでだんだん通用しなくなってきます。

「時間をかけてじっくり打つ」のは囲碁の基本です。

もちろん技術に自信のある方、技術をさらに向上させたい方は早碁で打つのもアリでしょう。

ただし雑になるようであれば、1局1時間かけて焦らずにじっくり打つべきです。

「心」の弱い人はすぐに結果を求めようとして早打ちになる傾向があります。

「わからないから早く打ち進めてしまおう」とポンポン打っているうちに大石の眼がなくなってしまいました。

そうなってからようやく手を止めて考え出しますが、「時すでに遅し」でしょう。

下手の負けパターンの典型です。

「心」の強い人は優勢のときも劣勢のときも等しく「我慢強く」辛抱して考えています。

劣勢のときに考える人は多くても、優勢のときにしっかり考えられる人はそう多くありません。

置き碁では「序盤」に時間を使われるのが、上手としては最も厄介なことなのです。

上手の気持ちがよくわからない方は試しに下の級の方と打ってみてください。

下手の方がどういう動きをするのか、それによってどう困るのかよくわかるはずです。

囲碁は「心・技・体」のどれをとっても「時間」と密接に関わっています。

・心(気持ち)を整えながら、時間をかけて打つ

・技(技術)の向上を目指して、時間をかけずに読めるようになる

・体(体力)を切らさないように、時間を使って「考える体力」を身につける

囲碁の上達には「時間を確保する」ことが何よりも大切なことになります。

学生や社会人、悠々自適に余生を過ごしている方も人それぞれ囲碁と向き合う時間が異なります。

ライフスタイルに合った無理のない範囲で、囲碁と接する時間を少しでも増やしてみましょう。

学びは一生ものですから、学んで成長していくことに喜びを感じられると良いですね。

学んだ成果を活かすためにも、ぜひ大会など積極的に参加してみてください。