「目指すべき棋力の目安とはどの程度なのか?」について考察していきます。

目指すべき棋力の目安

棋力の目安

あなたの棋力は今どのくらいですか?

入門者

「囲碁を始めようかなぁ」と考えている方

初心者

囲碁を始めて間もない、もしくは「ルールは知っているよ」という方

初級者

19路盤で最後まで打てる方

中級者

囲碁教室や碁会所、ネット碁などで普段から対局している方

上級者

棋力別の大会に積極的に参加している方

初段

囲碁の基本定石・手筋・死活など、一定レベル修めた方

有段者

自信を持って自分の碁を打ち、囲碁を語れるようになった方

高段者

「井の中の蛙大海を知らず、されど空の深さ(青さ)を知る」方

これらは棋力別の目安であり、あなたの実力はあなた自身がよくご存知でしょう。

この中で大きく2つのカテゴリーに分けるなら、どの辺りで線引きしますか?

実に悩ましいところですが、初級と中級の間に線を引くのが適当でしょう。

「入門~初級者」「中級~高段者」この2つを一括りにするのは理由があります。

それは「囲碁を知っているか」それとも「囲碁をやっているか」の違いです。

囲碁というゲームを認知しているのは「入門~初級者」です。

囲碁というゲームを趣味にしているのは「中級~高段者」です。

具体的な段級位で示すと「30級~10級」「9級~六段」といったところでしょう。

「10級」というのは棋力における大きな分かれ目になっています。

段級位を「教育課程」に例えると次のようになります。

幼稚園または保育園(30~20級)

ポン抜きができる~9路・13路で打てる

小学校(19~10級)

19路盤で打てる~何とか形になる

中学校(9~5級)

手筋を使い始める~布石の組み立てができる

高等学校(4~1級)

本格的に死活を勉強し始める~局後の検討をする

大学(初~四段)

理論立てて一局を打ちきれる~柔よく剛を制すようになる

大学院(五~七段)

我流が自分流となる~碁会所で打つ人がいなくなる

だいたいこんなイメージで捉えてみてください。

義務教育(中学まで)を終えるくらいで、囲碁的には「5級」といったところです。

ちなみに囲碁は「入門~初級」で脱落する人が後を絶ちません。

その理由は「思っていたよりも難しい」からです。

やる前には「難しい」と思っていたイメージも、やり始めると「何だかできる」ように感じます。

しかし実際には「結構厳しい」のが実情です。

皆、軽々しく「初段を目指す」と言いますが、それは「大学を目指す」のと何ら変わりありません。

細々と続けて「10年」も経てば、ようやく「5級」程度にはなっているでしょう。

それほど囲碁の棋力向上は難しく、一筋縄ではいかないのです。

逆に言えば、今あなたの棋力が有段者なら「大学生」並みの見識があるということです。

中級~上級者の方も「中高生」並みの理解力があるわけですから、私は敬意を表します。

何事も始めたばかりの頃は「赤子同然」です。

1から始めて積み上げていくのがどれほど大変なのか、やってきた人にしかわかりません。

今のあなた自身の棋力にもっと自信を持ちましょう。

その上で「どうやったら上達できるのか?」を試行錯誤していくのです。

生涯棋力

人は幾つになっても成長できるので、囲碁の上達にはいつまでも終わりがありません。

とはいえ、どこかで満足しなくては時間がいくらあっても足りません。

短期的な目標であれば「5級」を目指すのがよいのではないでしょうか?

万人が目指す「初段」という頂には、ちょっとやそっとじゃとても到達することなどできません。

仮にあなたが初心者であれば、1~3年かけて5級になるくらいでちょうどよいでしょう。

特に定年後に囲碁を始めた方は初段になるまで「15年」くらい見ておいた方が無難です。

「そんなにかかるなんて知らなかった」という方も多いでしょう。

若い人や囲碁だけやっている方ならいざ知らず、定年後は「多趣味」の方が大勢います。

どれもこれも「初段」の腕前になるには、同時進行のためどうしても長い年月がかかります。

年数の目安はおおよそこんな感じです。

1年で「10級」を目指す。

3年で「5級」を目指す。

10年で「初段」を目指す。

しかしこれはあくまでも「目標」ですから、実際には上手くいかない方もいます。

ただ腰を据えて長い目でやろうと決めていれば、年月の経過などあっという間です。

もし10年で初段になれたら「万々歳」といったところでしょう。

そもそも上達は必ずどこかで「止まる」ものです。

もし囲碁を始めた最初の1年で初段になれたとしても、10年間足踏みをしていれば「10年で初段」と同じことです。

これは有段者であろうと高段者であろうと何ら変わりありません。

時が経つにつれ「碁歴」が長くなり、それに伴い相応の棋力に落ち着きます。

それならいっそのこと「生涯棋力」を自ら定めてみてはいかがでしょうか?

「〇年で〇段(〇級)になる!」なんて目標は長い目で見るとちっぽけなものです。

「中卒、高卒、大卒」といった最終学歴のように「生涯における棋力」を定めましょう。

私のお勧めする「生涯棋力」は以下の通りになります。

10代~20代で始めた方は「五段」(所要年数7,80年)

30代~40代で始めた方は「三段」(所要年数5,60年)

50代~60代で始めた方は「初段」(所要年数3,40年)

70代~80代で始めた方は「5級」(所要年数10~20年)

「人生50年」の時代ははるか昔、今はもう「人生100年」の時代となっています。

ひとまず「5級」のラインは生涯を終えるうちに越えたいものです。

とはいえ「70代~80代」で始め方が「5級」というのは、実はかなりきわどい目標になります。

今から囲碁を始めようとしている方は、少なくとも「60代」のうちに取り掛かったほうが圧倒的に有利です。

70歳を過ぎてから始めるのは、かなり不利だと言わざるを得ません。

免許証に「初心者マーク」「シルバーマーク」があるのなら「シルバー段級位」があってもちっともおかしくありません。

俗にいう「名誉段位」というものですね。

巷の「名誉初段」はネットでは「5級」程度になります。

しかし棋力を決めるのに「実力至上主義」ではあまりに無機質で無慈悲ではないでしょうか?

70代~80代で始めた方には「戒名」と同じく「実際の棋力+5級」にしても罰は当たらないでしょう。

シルバー初段(実際には5級)の方と打つときは、気を利かせてこちらが六段(実際には初段)を名乗ればよいだけのことです。

棋力など所詮「肩書き」に過ぎませんから、ある程度「遊び」があって然るべきかと思います。

眺める景色

私が囲碁を始めた当初は「目標初段、夢は七段」と心に決めていました。

初段、七段の高みがどれくらいなのか、当然ながら想像できるはずもありません。

始めたのが高校1年生のときだったので、アマチュアとしてはずいぶん早いほうでしょう。

初段に近づくにつれ、もっと上の景色を見たいと思い囲碁にのめり込んでいきました。

「今(当時1級)でこれくらい打てるんだから、七段になったらどんな景色が見えるんだろう」

こんな風にいつかの憧れを夢見ながら、日々コツコツ囲碁に取り組んでいました。

現在の棋力は「アマ六段」もしくは「名誉七段」です。

どうしても棋力が甘い場所だと段位を上げざるを得ないので、多少の「名誉」は仕方ありません。

しかし名誉付きとはいえ、念願の七段を名乗ることができました。

さて、はたして「見える景色」はどのように変わったのでしょうか?

これは個人差があって当然のことですから、あくまでも「私個人の感想」としておきましょう。

見える景色は「10級以前」と「初段前後」ではえらい違いです。

ところが「初段前後」と「六、七段」では言うほど大差ありません。

例えるなら「もやがかかっているか、否か」という表現になります。

10級以前はもやのかかり方が半端ではないので、ほとんど「五里霧中」の状態に他なりません。

これが1級くらいになってくるとおおよその景色はちゃんと見えています。

有段~高段に至るまでの過程は、いかに「より鮮明に」景色が見えているかどうかです。

なるほど、確かに綺麗にしっかり見えるに越したことはありません。

それが絶景(名局)なら尚更でしょう。

とはいえ「感動するかどうか」の観点からすれば、私は1級のときもう十分なほど感動を味わっています。

そこから先は「画質」にこだわるように詰碁を解いたり、棋譜並べをしたり、知識を詰め込んだりと「あまり楽しくない」勉強の仕方になっていました。

要するに「楽しむための勉強」から「強くなるための勉強」にシフトしていたのです。

その見返りとして得られた「景色」は当時の想像を上回ることは決してありませんでした。

景色は「綺麗に見えるかどうか」に躍起になるのではなく、やはり「景色そのもの」を楽しむものでしょう。

「画質」にこだわるのではなく、盤上の「見え方」が重要になってきます。

昔のゲーム機なら「ゲームボーイ、スーパーファミコン」から「プレイステーション」に代わったときが一番ワクワクしました。

2次元のドット絵から立体に見える画面に変わった当時の衝撃は今でも忘れられません。

その後「プレイステーション2」以降は「いかに綺麗で鮮明な画面を映し出すか」といったテーマになってしまいました。

しかし重要なのは「そこ」ではありません。

楽しむために必要なのは「雰囲気」なのです。

「そこ」さえ掴めていれば、それ以上求めても得られるものは少ないでしょう。

囲碁の雰囲気を楽しむのに「有段」の実力は必要ありません。

かといって「初級者以下」の棋力では、囲碁の世界観を存分に感じ取ることはできません。

私の主観では、1級~5級くらいの棋力なら何の不足もなく生涯にわたり囲碁を楽しめます。

それより先は「勝負の世界」と心得ておきましょう。

芸術の世界は「上級者レベル」で十分事足ります。

勝負の世界は「際限のない勝ち負けの繰り返し」です。

あなたが生粋の「勝負好き」かつ「負けず嫌い」なら、有段者にはなるべくしてなります。

皆、多かれ少なかれ「負けたくない」と思っていますが、その度合いが大きいほど高みへ登れます。

ただし高みの頂に達しても望遠鏡で遠くが「綺麗に見える」だけであることは覚えておきましょう。

大切なのは「勝つこと」なのか、それとも「雰囲気を楽しむこと」なのか今一度自分自身に問いかけてみてください。

その両天秤が釣り合った気持ちの位置こそ「生涯棋力」を決めるのにふさわしい心の在り処となります。