「囲碁の終局(終わり方)はどうするのか?」について考察していきます。

囲碁における終局(終わり方)

曖昧な方法

あなたは「終局」をどのように判断していますか?

囲碁は終わり方に関して、他の競技とは一線を画します。

なぜなら囲碁の終局は「お互いの合意によって決められる」からです。

スポーツを始めとする他の競技において、そんなことがあり得るでしょうか?

将棋なら「王が詰んだら終わり」ですし、スポーツの場合は「時間が来たら終わり」でしょう。

だいたいの競技は「タイムアップ」あるいは「トドメを刺す」ことで終わりを迎えます。

囲碁にはタイムアップもなければ、トドメを刺すなど強制終了させる手段もありません。

「投了」はあくまでも「敗者の権利」に他なりません。

たまに「早く投げろよ」と煽ってくる人もいますが、どんなに大差であろうと無理やり「中押し」(コールドゲーム)にはできません。

というより、ルール上は「打つ場所がなくなるまで」打ち続けることができます。

囲碁には「打てない場所」が2つだけあります。

1つは「石の上」もう1つは「着手禁止点」です。

囲碁の終局が厄介なのは「日本ルール」だからであり、そもそも「中国ルール」なら終わり方は明快です。

中国ルールの終局とは、それこそ「打つ場所がなくなったら終わり」という単純なものです。

つまり盤上が「お互いの石」と「二眼(着手禁止点)」だけになったら終局します。

中国ルールは囲碁の起源です。

「石を囲んで取る」のは同じであり、勝ち負けは「最後に石数の多いほうが勝ち」となります。

囲碁が日本に伝えられ、そのうち終局の効率化が図られます。

すなわち「地を数えたほうが早い」ことに気が付きます。

中国ルールの「最後に石数の多いほうが勝ち」という状況を作るには、結局「最終的に陣地を多く作る」のが有効になります。

交互に石を置いて行く以上、相手の石を取り除ける(殺せる)空間というのは必要不可欠でしょう。

なぜなら日本ルールにおける「地」こそ、自分の石をより多く置ける空間に他ならないからです。

中国ルールにおける終局の仕方は以下の通りです。

1,日本ルールと同じく、地を作る

2,相手の陣地に入れなくなったら、自分の陣地を埋めていく

3,アタリにならないように二眼を残しておく

いわゆる「ダメ」もポイントになりますが、石数として1ポイントにしかなりません。

少ない石数で「領域」を拡大していき、最後の最後でようやく埋めていくのが正しい手順でしょう。

しかしよくよく考えてみると「領域」を埋めずにそのまま数えても何ら変わりありません。

交互に打つので、石数もダメもポイントに加算しなければよいだけのことです。

こうやって効率化が図られたものこそ「日本ルール」になります。

ちなみに台湾の碁会所では「中国ルールと日本ルール」を掛け合わせたような数え方をしています。

「最後に石数をかぞえる」のは中国ルールと同じです。

しかし「領域」を埋めていくのは意味がないので、そのまま「地」として数えます。

つまりわざわざ埋めなくても「盤上の石数」と「地」を足せば、どちらの石数が多いのかはっきりします。

いずれにしても中国ルールでは「最後まで打ちきる」ので、終局に紛れが生じません。

対して日本ルールでは「最後まで打ちきらない」ため、どこまで打てばよいのか分かりません。

結局は「お互いの合意によって終わりとする」という曖昧な方法を取らざるを得ないのです。

終局トラブル

終局はお互いの合意によって決まるわけですから「終わりですよね?」と聞くのが一般的です。

万が一、相手が同意しないときは「パス」を宣言すればよいだけのことです。

相手に連打されますが、盤上にもう「手」が残っていないと判断したのなら仕方ありません。

もしくは「ダメ」を詰めるのも1つの方法でしょう。

大抵の場合、ダメを詰める前に「終わりですよね?」と確認します。

あるいは確認せず、粛々とダメを詰めていくパターンもあります。

これは有段者によくあるパターンであり、打ち慣れていないと難しいでしょう。

初心者同士が終局を明確に見定める必要はありません。

仮に境界線を打ち残していたとしても「お互いの合意によって」その都度、解決していけばよいだけのことです。

ただ厄介なのは「ネット碁」の終局であり、お互いの合意がなされると対局に戻れない場合があります。

もし境界線が残っていたら、正確に目数を算出してくれません。

これがAIとの対戦なら、たとえパスしても打つべき場所にちゃんと打ってくれます。

囲碁を始めるなら、対戦する方法と順番を選んだほうが無難でしょう。

ネットやAIが発達した現代なら、次のような手順になります。

1,ネットでAIと対戦する(ブラウザゲームCOSUMI推奨)

2,リアルで人と対戦する(囲碁教室、囲碁サークル推奨)

3,ネットで人と対戦する(囲碁クエスト推奨)

とりあえず、ネットでAIとの対戦ならルールや終局に紛れは生じません。

石を囲ったら取れますし、着手禁止点にも置けませんし、コウも問題なく処理できます。

終局が分からなければ、パスをしてAIの様子を見ればよいでしょう。

慣れてきたら今度は「人」と打つことをお勧めします。

囲碁教室や囲碁サークルなら、困ったときに教えてもらうことができます。

ネット碁での対人戦はそれからでも遅くありません。

顔の見えない相手とはトラブルになりやすいので、十分注意する必要があります。

こう書くといかにもトラブルに巻き込まれそうですが、実際には顔の見えない相手に熱くなってあなた自身がトラブルを引き起こすかもしれません。

ネット碁では事故に遭うよりも「事故を起こさない」心構えが大切になります。

誰しも「自分は悪くない」と錯覚しがちですが、トラブルはお互いのことですからね。

そういう意味では、ネット碁はチャットできないものを選んだほうがよいかもしれません。

ただし囲碁クエストは時間制限が厳しいので、打ち慣れていないと苦労します。

この「時間制限」というのも終局トラブルに関わる重大な問題の1つでしょう。

特に大会で「対局時計」を使用する際には「時間切れ」のトラブルが後を絶ちません。

他の競技にも「時間」の概念はありますが、切れ負けでトラブルになるケースは珍しいのではないでしょうか?

日本のルールは「合意せず、いつまでも打ち続けられる」点において、不合理と言えるかもしれません。

そもそも「最後まで打たず(石を詰めず)終わりにしましょう」というのは一種の紳士協定に他なりません。

勿論、中国ルールでも「時間稼ぎ」はできますが、終局が明快な分だけトラブルも少ないでしょう。

日本は「恥の文化」であるため、時間切れ勝ちを狙うような姑息な手段を良しとしません。

にもかかわらず、勝ち負けが絡むとどうしても「欲」が出てしまうのは人の性というものです。

終局は勝ち負けに直結しますから、なるべくトラブルを起こさないようにしたいものですね。

「パス」宣言の推奨

ネット碁では当たり前のように使われている「パス」をリアルの対局で見かけることはありません。

最後に「手残り」かもしれないので、相手が気づいていなければ試してみたいという場面が多々あります。

基本的に「終局合意」したあとに手を付けるのはマナー違反です。

また「終局合意」の後、ダメを詰めている最中にアタリになっても抜かないのが通例となっています。

プロの対局では、ある時を境に「終局合意はダメを詰め終わったあと」というルールになりました。

確かにすべて打ち終えた上で「終わりですね」と言ったほうが無難でしょう。

プロの対局でも過去に終局合意をめぐるトラブルは起きています。

一方が終局合意したものとしてダメを詰めていたら、もう一方は終局を認めていなかったというのです。

結局、ダメ詰めの最中に手が生じてしまい、逆転を許してしまいました。

また他にも「手残り」にもかかわらず、相手に「終局ですね」と言われてしまったケースがあります。

しかもよりによって「相手の手番」だったということです。

ここで終局を合意してしまえば、あとから手を付けても無効にされてしまいます。

かといって合意しなければ、相手に「手残り」だと気づかれてしまいます。

その棋士の先生は泣く泣く「投了」を選択しました。

このようにプロ棋士といえど、終局にまつわるトラブルが生じているのです。

正直、ダメ詰めの最中に何かやろうというのは「かっこ悪い」と感じています。

いくらタイトル戦だったとはいえ、そういう勝ち方は目先の勝利だけを追うような小さいものです。

まあ大竹英雄九段の「大竹美学」のように「半目負けを読み切って投げる」という芸当までは到底真似できませんが。

とにかくダメを詰め終わり、打つ場所がなくなったら「パス」と宣言するのが最も公平でトラブルの少ない方法でしょう。

「終わりよければすべてよし」ということわざの通り、勝負の決し方はどの競技でもすごく気を遣います。

勝ち負けが関わるとどうしても「品位」が保てなくなるのは仕方のないことでしょう。

特にアマチュアの大会では、終局したあとも「整地」で揉めることが少なくありません。

整地は「対局が終わったあと」結果を確認するものに過ぎません。

とはいえ並べ返しできない人が大半ですから、下手な整地はトラブルの原因にもなります。

結局のところ「勝敗の決し方が曖昧」というのが囲碁の難点であり、いまいち普及しない要因ではないでしょうか。

いっそのこと中国ルールに統一すれば、分かりやすいというものです。

しかし日本ルールは無駄を省き、お互いの合意を尊重するなど「日本人らしさ」に溢れています。

むしろ終局時にトラブルを引き起こすのは、ルールよりも当人の問題です。

最後の最後にダメヅマリの大逆転を狙うのは「アリ」ですが、どちらかというと「かっこ悪い」と言わざるを得ません。

勿論、優勢の側が勝つために細心の注意を払うのは当然のことでしょう。

しかしながら劣勢の側も最後には負けを認める「潔さ」が必要になります。

最後の最後まで、粘って粘って逆転を狙うのは素晴らしい心がけです。

とはいえ小ヨセが終わって、実質的に終局してから粘るのはみっともないと自覚すべきでしょう。

数えるまでもない大差なら、それこそ潔く「投了」するのがよいのではないでしょうか。

囲碁の終局は「両者の合意によって」なされます。

他ならぬ、あなた自身の心がけ次第で気持ちよく対局を終えることができます。

是非とも相手へのリスペクトを忘れることなく、紳士的な気持ちで終局に臨んでみてください。