「囲碁の世界を探求すること」について考察していきます。

囲碁の世界を探求する

無限に広がる世界

囲碁の変化のパターンは全宇宙の原子の数より多いという話を聞いたことはありますか?

観測できる範囲の全宇宙の原子の数はおよそ10の80乗です。

それに対して、囲碁の変化のパターンは何と10の360乗にもなります。

もちろん意味のないコウ争いや自分の陣地を埋めるような手など無駄手も無数に含まれています。

とはいえ、凡人には到底考えの及ばないとんでもない数字の世界です。

囲碁はまさに宇宙を超えた無限の可能性を秘めていると言えるでしょう。

この無限に広がる囲碁の世界には「正解」というものがありません。

確かに周知の通り、囲碁には基本的な「筋」や「形」があります。

宇宙が無限に広いといっても地球のような「奇跡の惑星」は未だ確認されていません。

無限に広がる宇宙空間の中には、煌めく星々の他に何もありません。

囲碁も同じです。

いくら変化が数限りないとはいえ、勝つために必要な「有効打」は限られています。

一例として、初手にも関わらずいきなり第一線に打つのはさすがにおかしいでしょう。

棋理に反した手を打っていては、勝負に勝てる道理が見当たりません。

無数の選択肢の中でも「価値を見い出せる手」とは数に限りがあります。

その着手をどう意味づけしていくのかによって、人それぞれの棋力に差が付くというものです。

しかしながら有効打が限られているからといって、唯一無二の「正解」など盤上には存在し得ないことは知っておくべきです。

遥かに広がる無限の可能性に意味を求めるなら、その時点で着手の選択肢は有限になります。

しかし有効打の候補をかなり絞れたとしても、ただ一つの「正解」には誰もたどり着けないのです。

正解とは何か?

実は囲碁における正解と判断しても良い部分は少なからずあります。

もちろんすべての変化のパターンと比べるなら、そういった部分はごくわずかです。

はっきり正解を導き出せるのは、終局間近である小ヨセでしょう。

残り1目、2目をヨセる段階になれば、そこには「可能性」という不確かなものは存在しません。

ただひたすら計算して正解を求めていくだけの作業になります。

あともうひとつ正解を導き出せるとしたら、部分的な死活でしょう。

死活は「生き」「死に」「コウ」という3つの結末に限定されています。

範囲を指定している死活の問題集なら他との兼ね合いがなく、正解を導き出すことができます。

しかし実戦になると部分だけで判断できるはずもありません。

実戦の死活では部分的に殺したほうが得なのか、それとも生かしたほうが得なのかわかりません。

全体のバランスと相談しながら判断します。

また問題集では「無条件死」「無条件生き」を優先的に正解としており、無条件をコウにしてしまっては不正解となります。

ところが実戦的には無条件で生きるところをあえてコウに受けたり、全部を生きるのではなく一部分を取らせてしまったほうが得策だったりすることがあります。

部分的な死活といえど、実戦に照らし合わせるなら必ずしも正解を導き出せるわけではないのです。

囲碁は常に周囲の状況によって形勢判断や局面の考え方が変化します。

こういったことを踏まえると、囲碁では「正解」を追い求めることが必ずしも正しい態度ではありません。

教え上手、教わり上手になろう

もし誰かに教えを乞うのであれば、局面の問い方を今一度考え直さなくてはならないでしょう。

「ここはどう打てば良いのですか?」「ここではどう考えるのが正解ですか?」と聞くのは質問の仕方がズレています。

教える人も正解などわからないので、その局面におけるその人自身の考え方・感想を述べることしかできません。

「こう打つのが正しい」「このように考えるのが正解だ」という断定的な教え方では、教わる人の視野を狭めてしまいます。

本に書かれている知識を引用してそのまま受け答えするのでは、囲碁を学ぶ者としてはまだまだ未熟と言えるでしょう。

囲碁を「打つとき」「教わるとき」「教えるとき」には盤面の広さ、深さをよく知る努力をしましょう。

最終的に勝ち負けが決まってしまうので、どうしても相手を上回ろうとその場面での正解を追い求めてしまいます。

そうすると次第に盤面に対する視野が狭くなり、様々な局面を迎えたときに柔軟に判断することができなくなります。

人に教わったり、本に書かれていることを必死に覚えようとするのは「定石覚えて二子弱くなり」の格言通りの愚行です。

提示された正解手順を追っていくのではなく、正解に至るまでの考え方こそが大切なのです。

人に教えるとき「こう打つのが良い」とはっきり言うのは少し控えてあげましょう。

無論、言いきってしまったほうが教えやすく相手のためになることが多いのも事実です。

しかしまずは囲碁の広さ、深さをよく理解してもらうことが大切です。

囲碁には「絶対」と言える正解はありません。

囲碁は自由な発想で打てることが一番の魅力ですから、学ぶときはそれを踏まえた上で盤面や相手と向かい合いたいものですね。

宇宙よりも広く、深い囲碁の世界で皆さん自身の打ち方、考え方を模索していきましょう!