「囲碁の上達に必要な3つの要素とは何か?」について考察していきます。

上達に必要な3つの要素

モチベーションと欲求

囲碁に限らず、物事をある程度まで習得するには「時間をかける」ことが欠かせません。

仕事であれ、趣味であれ、またはダイエットであれ時間をかけながら徐々に身体や頭に慣れさせていく必要があります。

何事も初めのうちは成果が出ませんから、モチベーションを保つためには強い「動機」が不可欠でしょう。

仕事であれば「生活のため」「将来のため」など理由を付けるのに事欠きません。

ダイエットなら「モテるために絶対痩せる!」とか「理想の体型になりたい!」といったコンプレックスの解消は元より健康面においても始める理由は十分にあります。

それでは「趣味」というのは、どれだけの熱を持って始めるものなのでしょうか?

私が囲碁を始めたきっかけは「ヒカルの碁(漫画)」ですから、囲碁を始めた当時のモチベーションは並々ならぬものでした。

それこそ半年間ずっと負け続けても、やり続けるほどの熱意を持っていました。

それほどヒカルの碁が面白かったということですね。

他にもバスケ漫画がきっかけで部活動3年間バスケ部に入っていたこともありました。

私のような「漫画世代」であれば、面白い漫画がきっかけで競技を始めることも珍しくありません。

もちろん競技にとどまらず、文化系を始めとするサブカルチャーにおいても「漫画」の影響を受けて「やってみよう」という方は大勢います。

ただしこれは10代~40代くらいの若い世代に言えることで、シニア世代はまた別のきっかけで始めることが多いでしょう。

囲碁を始めるきっかけとして最も多い回答は「ボケ防止」というものです。

健康面に対する不安を解消しようと「頭脳ゲーム」である囲碁に興味を持つのです。

しかしこの「予防」という動機はいささか継続していく上では「弱い」と言わざるを得ません。

「医療」や「健康」に対する需要は「病気」になってから初めて高まるものであり、その証拠に若い人はそれほど健康に対して関心がありません。

世の中の需要は「必要に迫られて」という動機が一番多いのではないでしょうか?

よく「欲がある」「欲がない」という表現をしますが、「欲求」を別の言葉に置き換えると何ら特別なことではありません。

すなわち「必要がある」「必要がない」と言い換えればよいのです。

いわゆる「三大欲求」である「食欲」「睡眠欲「性欲」など、すべては「必要に迫られて」欲するものではないでしょうか?

もっと突き詰めると「困っている」からこそ「何とかしたい」という欲求が生まれるのです。

これは本人の気持ち次第であるため、他人が推し測ることは絶対にできません。

お金持ちなのに「お金が欲しい」と思うのは、貧しい人からすれば金の亡者に見えるかもしれません。

しかし実際はお金に対する価値観も違えば、その人の状況を正確に知る術も持ち合わせていないはずです。

結局のところ「必要ない」「困っていない」と他人が勝手に解釈して、「欲ボケ」「欲が深い」と揶揄しているに過ぎないのです。

囲碁の上達に関してもまったく同じことが言えます。

強い人ほど「さらなる強さ」を求めて、日々の勉強に励んでいます。

それは本人の価値観からすれば「必要に迫られて」と言っても過言ではありません。

「三度の飯より好き」ということわざの通り、生きるための欲求を上回るほど熱中しているのです。

これほどの動機を初めから持ち合わせることは、よほどのきっかけがないと難しいでしょう。

囲碁をしてもしなくても生活に何ら影響を与えません。

そういった状況では、生活に影響を及ぼす他の事柄に時間を割くようになります。

結果として囲碁に関わる時間が少なくなり、上達どころではなくなってしまうのです。

かけられるもの

物事をなるべく早く習得しようとするなら「お金をかける」ことは絶対に不可欠です。

知識を得るのは決して「タダ」というわけではなく、それ相応の対価を支払わなければいけません。

まず初めに思いつくのは「本」を買うことでしょう。

書籍には筆者の経験に基づく豊富な知識が詰め込まれていますから、勉強するのに欠かすことはできません。

本だけではなく、直接人に教わろうとしても当然ながらお金が必要になります。

お金とは様々なものと交換できる「対価」であり、あなたの貴重な時間を割いて稼ぎ出した「労力」でもあります。

つまり「お金をかける」ということは「時間をかける」ことであり、「労力をかける」ことでもあります。

物事を習得するには「お金」「時間」「労力」のいずれも必ずかけなくてはいけません。

ただし、その比重が人によって異なるのです。

まだ働きに出ていない10代の学生なら「お金」がありませんから、「時間」と「労力」をかけるしかありません。

私も10代で囲碁を始めたので、お金をかけたのは「本」と「ポータブル碁盤」と「ゲーム」くらいのものでした。

囲碁のゲームはいわゆる「AI」に相当しますが、15年以上前のものなので大したことはありません。

対局は週一で地元の公民館に通っておじいちゃんたちと打っていました。

お金があれば囲碁教室に通ったり、ちゃんとした碁盤を買ったりすることもできましたね。

働き始めてからは碁会所に通ったり、碁盤を買ったり、通信教材を買ったりしていました。

しかし働き始めると今度は「時間」がありませんから、「労力」と「お金」をかけるしかありません。

すなわち少ない時間でいかに「負荷」をかけて勉強するかに注力していました。

「効率」という言葉に置き換えてもよいでしょう。

しかしまったく「時間をかけずに」というわけにはいきませんから、やはり少なからず時間を確保することは大切です。

これは3つの要素すべてにおいて同じことが言えます。

「時間をかけずに」「お金をかけずに」「労力をかけずに」上達するというのは、明らかに不可能なことです。

またこれらすべてをかけるというのも現実的ではありません。

世代ごとに「かけられないもの」は以下のようになります。

・若い世代は「お金をかけられない」

・働き世代は「時間をかけられない」

・シニア世代は「労力をかけられない」

どれも「まったくかけられない」わけではありませんが、実際のところ難しいのではないかと思います。

囲碁上達には「時間」や「お金」だけではなく、多大な労力を費やします。

そのため、シニア世代の方には体力的にきついのではないかと推察します。

囲碁を打ったことのある人なら、一局打つのにどれだけ体力を消耗するのか想像に難くないでしょう。

ましてや「段級位認定大会」や「宝酒造杯」など、1日何局も打つ場所に赴くのは相当な覚悟が要ります。

囲碁における心・技・体を鍛えるには?

※興味のある方はこちらも合わせてご覧ください。

ボケ防止のために囲碁を始めたにもかかわらず、囲碁を打つために体調面の管理をしていては本末転倒かもしれません。

とはいえ、囲碁を上達するには対局を数多くこなすことが欠かせません。

その多大な労力を少しでも和らげるために「時間」と「お金」をかけて学ぶことが必要不可欠なのです。

3つの要素のうちどれか1つを補おうとすれば、他の要素に注力しなくてはいけません。

あなたが「かけられるもの」「かけられないもの」をよく見極めることが大切です。

惜しまないこと

上達するためには「時間」と「お金」と「労力」が必要不可欠であることがわかりました。

では、具体的に「どれくらい」の時間とお金と労力をかければよいのでしょうか?

囲碁を始めた方の第一の目標であり、かつ最終目標でもあるのが「初段」です。

ほとんどの方が初段を目指して、大半の方はその域まで到達できません。

それもそのはずです。

「囲碁初段」の壁は思っているよりもはるかに高く、生半可な気持ちでは到底超えることなどできません。

1つの目安として「時間的な要因」に基づいて考えてみましょう。

大してお金も労力もかけずに初段になろうとしたら「10年~15年」くらいの歳月を要します。

「1年で初段」になろうと思ったら、それこそ多大な労力とお金をかけなくては達成できません。

世の中には「3か月で初段」と謳っているサイトもありますが、達成するにはとてつもないハードルが待ち構えています。

例えば、普段まったく自転車に乗ってないあなたが競輪を始めたとしましょう。

たったの3か月で自転車を乗りこなしてロードレースに出場することが果たしてできるでしょうか?

自転車といってもママチャリではなく、レース用のロードバイクです。

しかもただ出場するだけではなく、一定以上の成績を残さなくてはいけません。

もし、実現させようとするなら有能なコーチに教えを請い、付きっきりでひたすら練習するしかありません。

仮にマラソンであっても同じことが言えます。

たったの3か月でフルマラソンを4,5時間で走りきることができますか?

ただ走るだけでは到底かなわない目標であることは想像に難くないはずです。

それこそ専門のコーチの指導のもと、3か月間ひたすら練習に打ち込まなくては達成できません。

これらが達成可能なのは「お金持ち」の家に生まれた若い世代に限られるのではないでしょうか。

働き世代では「3か月」という時間的な縛りの中でも仕事しなくていけませんから、とても現実的な期間ではありません。

またシニア世代に3か月間みっちりやり込むだけの「体力」があるかどうかは甚だ疑問です。

実際に「3か月で初段」または「半年で初段」を達成したという成果報告も聞こえてきます。

しかしそれは「なんちゃって初段」もしくは「稀有な才能」あるいは「とてつもない努力」のいずれかによるものでしょう。

「なんちゃって初段」とは「甘々な初段」のことであり、どこに行っても通用する実力ではありません。

日本棋院が主催する「段級位認定大会」なら十分初段に満たない実力でも合格することができます。

まず受付を身内同士で並んで済ませます。

すると受け付け順に対戦が組まれるため、前後を身内にしておけば必ずどちらかと対戦することができます。

そこで勝っても負けても恨みっこなしの勝負で1勝を挙げます。

そしてあともう1勝さえしてしまえば、もれなく免状費を全額負担することで晴れて「初段」を名乗ることができます。

ちなみに2戦目以降は「勝った者同士」「負けたもの同士」で対戦することになります。

つまり2戦目は勝った者同士で当たらなくてはいけませんが、2,3戦目を負ければ4戦目は1勝2敗同士での対戦となります。

はっきり言って段級位認定大会の「2勝2敗(全額負担)で免状授与」というのはシステムが破たんしています。

その制度を利用して初段免状を獲得しても、いわば「なんちゃって初段」の域を出ません。

曖昧な棋力にどう向き合うのか?

※詳しくはこちらをご覧ください。

他に3か月で初段足り得るのは「稀有な才能」の持ち主か「とてつもない努力」をした人くらいのものです。

世の中「例外」は必ず存在しますから、囲碁を始めて3か月で初段になるのは決して不可能なことではありません。

物事を的確に捉える素養を持っていれば、凡人では計り知れない結果を生み出すこともあり得るでしょう。

また人並外れた努力によって結果を出す方も、初段を取る方の中にはいるかもしれません。

毎日12時間の勉強を1か月続ければ、およそ360時間ほどの時間を費やしています。

それを3か月の間、休みなく継続すると合計1000時間を超える勉強量になります。

それだけ集中して勉強することができるなら、短期間で初段に到達することは十分可能です。

もちろん適切なアドバイスができる先生がいてこそ「3か月で初段」は成り立つものでしょう。

そこそこお金をかけて、そこそこの労力で初段を目指すのであれば「3年」が1つの目安となります。

週2~3回くらいのペースで囲碁教室や碁会所、または囲碁会に通うのであれば、3年で初段を目指すのはよい目標ではないでしょうか。

あとはネット碁で日々対局を重ねることも有効な上達法になります。

どのみち上達するには「時間」も「お金」も「労力」もかかることはわかりきっています。

大切なことは「ケチらない」ことです。

「時間を惜しむ」「お金を惜しむ」「労力を惜しむ」のでは、決して何も得られません。

上達という成果を得るためにも「惜しまない」ことを心がけましょう。

努力を惜しまない姿勢こそ、上達するうえで最も欠かせない要素なのです。

是非とも無理せず、かといって諦めずにこれからも上達を目指しましょう!