「一局を組み立てるにはどうすればよいのか?」について考察していきます。

一局を組み立てるには

ルールからゲーム性を理解する

囲碁のルールをひも解くことで、盤上で目指すべき目的が明確になります。

すなわち

・交互に打つ(先手を取る)

・石を取る

・最後に地の多いほうが勝ち(地を取る)

この3つのルールが囲碁における主な目的となっています。

さらに

・着手禁止点(死活)

・コウ

この2つのルールによって、より複雑なゲームになっています。

もっと具体的に示すなら

・布石(先手を取る)

・中盤(石を取る)

・ヨセ(地を取る)

このように局面次第で目的の優先順位が変わってきます。

もちろん布石の中においても「序・中・終盤」のようなものがあり、石がぶつかれば「石を取る」ことや「地を取る」ことも必要です。

つまり、初手から終局までの「序・中・終盤」と部分的な「序・中・終盤」によって盤上が構成されているのです。

そのため、まず「布石」で考えるべきことは他の場所へ「先着」することでしょう。

部分的な争いに固執していると全局的に遅れるを取ることになりかねません。

囲碁では初めから大きく「石を取ったり」「地を取る」ことはできません。

部分的に石がぶつかれば多少の小競り合い(定石)にはなっても、全局的には一部分でしかないのです。

故に「定石」を打つときは、先手を取れる手順かどうかが重要視されています。

一般的には「先着しているほう」が先手を取りやすくなっています。

隅の定石において「星」に待ち構えているほうが先手、「カカリ」で後追いするほうが後手になります。

ちなみに「定石」とは「部分的に互角の形」になることは決してありません。

「先着しているほう」が常に有利になるようにできています。

「星」の定石であれば、カカリ~ヒラキまで同じ石数を使っていても隅の要所である「星」を占めているほうが有利になるのは当たり前のことです。

隅に待ち構えているほうが「後手」になる場合は、部分的により有利な形を得ることになります。

例えば「三連星」の布石で考えてみましょう。

黒の三連星に白が広いほうから小ゲイマガカリしてきました。

黒は低い一間バサミ、対して白は三々に入ります。

黒は三連星を活かすように白石を分断せず、広いほうから押さえます。

この定石は星に先着している黒が「後手」になってしまいます。

しかしその分だけ部分的には黒が有利な形を得ている理屈になります。

その代り白も「先手」を得ることになるので、「全局的」に見て互角の形勢となるのです。

「先手・後手」の概念がある以上、部分的に「互角」の形なんてあり得ません。

もし部分的に互角になってしまったなら、先着していたほうが割りを食っていることでしょう。

大事なことは優先順位

四隅、四辺の小競り合いがひと段落したところで「中盤戦」に入ります。

中盤になると「先手」の価値は布石よりも目減りしています。

なぜならすでに「隅」や「辺」の要所をある程度打ち終わっているため、新たに開拓する場所がないからです。

中盤では布石の組み立ての元にもっと細かい部分を争います。

例えばカカリ~ヒラキまで、布石で打たれるこの構えにはまだ「三間の打ち込み」の弱点が残っています。

布石の段階で100パーセント明確に一部分を確保することは難しいでしょう。

「小目のシマリ」や「三々入り」「二間ビラキ」のように小さく確保することはたやすくとも大きく囲うことはできません。

布石で大まかに隅と辺の要所を打ち終えたら、今度はより細かく狭い部分を争っていきます。

「狭い部分」を争うのですから、石がぶつかり合うのは必然です。

それゆえ「中盤」では戦いになることが多く「中盤戦」と言って差し支えないでしょう。

このとき「石を取る」ことができれば、戦いを有利に運ぶことができます。

中盤で大切なことは

・連絡

・切断と分断

・石を取る(手筋および死活)

この3つと心得ておきましょう。

石の連絡は「地を囲う」ために必要不可欠なことです。

石の切断(分断)は「地を囲わせない」ために打つものです。

石を取るのは「連絡と切断(分断)」において有利に働きます。

これらを意識することで中盤戦を乗り切ることができるでしょう。

中盤戦で失敗する人は「先手を取る」ことや「地を取る」ことに気を取られているのです。

確かに中盤においても布石と同様に「序・中・終盤」が部分的に構成されています。

戦いがひと段落すれば次の場所へ先着して、決着がつけば自然と地もできるでしょう。

しかし中盤では「大場より急場」の格言の通り、部分的な失敗のほうが全局的な石運びよりはるかに痛いのです。

布石の段階では「急場より大場」と言ってよいかもしれません。

部分的な失敗を補填できる大所がいっぱい残っているからです。

中盤になると「大所」が残っていない前提なので、部分的な失敗は全体の形勢に多大な影響を及ぼします。

だからこそ安易に「手を抜いたり」してはいけません。

また「地を取る」ことにかまけているのも良くないでしょう。

「地」とは最終的に相手より勝っていればよいものであり、途中経過は関係ありません。

将来的に少しでも「大きな地」を囲ったり、囲わせないようにすることが肝心なのです。

そのために「連絡」を強固にして大きく地を囲うか、あるいは「切断(分断)」に注力して地を囲わせないように邪魔するように打ちます。

「石を取る」ことができれば「連絡」や「切断(分断)」に有利に働くことは言うまでもないでしょう。

「アタリ(ダメヅマリ)」を始めとして「手筋」や「死活」または「コウ」に習熟することで、中盤戦に自信をもって臨むことができます。

ただしあくまでも囲碁の最終的な目的は「相手より多く地を囲うこと」なのです。

中盤戦は初手~終局までのつなぎでしかありません。

石を取ることで連絡と切断(分断)が有利になって、そのおかげで最終的に大きい地を囲うことができます。

このことは必ずしも「石を取る(殺す)」のは絶対によいと言っているわけではありません。

もし連絡と切断(分断)に不利に働くようであれば、石を取らないほうが良い場面も出てきます。

いわゆる「捨て石」ですね。

「石を取らせる」高等技術によって連絡と切断(分断)の状況を有利に働かせることもあります。

石を取ったほうが良い場面もいくらでもありますから、その都度によって柔軟に判断してみましょう。

ワラからレンガへ

ヨセに入るといよいよ本格的に「地」を争います。

布石とは中盤戦に向けての「準備段階」という位置づけになります。

そして中盤戦も最終的に相手より多くの地を囲うために必要な「準備段階」です。

始めからだだっ広い盤上で地を囲おうとしても小さく囲うのが精いっぱいでしょう。

そのため布石では「拠点づくり」に専念して、最後に大きな城を作ったり家を何軒も建てるようなイメージで打ち進めていきます。

もちろんせっかく作った拠点を簡単に取られてしまっては元も子もありません。

例えるなら「三匹の子ブタ」というおとぎ話がわかりやすいでしょう。

長男のブタがワラで家を作り、次男のブタが木の家を建て、末っ子のブタがレンガの家を建てました。

オオカミに襲われたときに一番丈夫なレンガの家に住んでいる末っ子のブタだけが生き残ったというお話です。

※結局は無理に家に入ろうとしたオオカミは煙突から落ちて、下で待ち構えていた子ブタに鍋で煮られてそのまま食べられてしまいました。

断点などの弱点を抱えていたり、根拠が乏しくては中盤戦を乗り切ることはできないでしょう。

布石の段階から断点もなく、根拠もはっきりとした「レンガの家」を建てることを意識するべきです。

当然ながら簡単に作れるものではありません。

イメージとしては最初は「ワラ」で拠点を作っておいて、次に「木」で徐々に地盤を固めていきます。

そして最終的に「レンガ」の家になっていればよいのです。

お互いに「子ブタ」であり「オオカミ」でもあります。

布石で作ったワラの家に攻め込むことで、中盤戦が始まります。

間違えてレンガの家に突っ込むようなことをしては、オオカミといえど逆に食べられてしまうでしょう。

必ずしも「ワラ→木→レンガ」という順番ではなく、部分的にはすでにレンガ(厚み)になっている場所があっても少しもおかしくありません。

ただ大筋として「布石→中盤→ヨセ」と「ワラ→木→レンガ」という順番に打っておくほうが棋理に適っているのは確かです。

相手(オオカミ)が攻め入ってこようが来るまいが「死活」が確定した時点でその場所は「地」になります。

地とは「完成された死活」によって形成されています。

より大きな地を囲おうとするなら、それに見合った材料(厚み)が必要になります。

囲碁は相対的なゲームですから「子ブタとオオカミ」のようにはっきりと立場が分かれているわけではありません。

お互いにけん制しながら囲ったり邪魔したりを繰り返していくのです。

そうやって生き死にがすべて決まったら、あとは境界線を決めて終局となります。

ヨセに入る段階で死活の決着はついています。

細かいヨセでの小競り合いをしているとまた中盤戦に逆戻りすることもあり得ます。

ヨセにおいても部分的な「序・中・終盤」があり、先着することや争うことも大事になってきます。

とはいえ「布石」や「中盤」よりもはるかに不確定要素は少ないので、無理をしなければ無事に終局まで行き着くことができるでしょう。

当然ながら「ヨセ」において最優先されるのは「地を取る」ことです。

勝敗を決めるのは「どちらの地が多いか」ですから、ここまできたら貪欲に地を追及していきます。

最後のダメヅマリによる「アタリ」にさえ気を付けていれば、ヨセで石取りを恐れることはさほどありません。

ここまでの話をまとめると

・布石では「先手を取ること」「全局的な視点」を重視する

・中盤では「石を取ること」「部分的な戦い」を意識する

・ヨセでは「地を取ること」「形勢がどうなるか」を見定める

基本的にはこのような流れで打ち進めていくことになります。

もちろん各局面においても

・「先手を取ること」「全局的な視点」

・「石を取ること」「部分的な戦い」

・「地を取ること」「形勢がどうなっているか」

この順番で着手を組み立てるのがセオリーになっています。

囲碁は「組み立て」こそ極意ですから、順番があべこべにならないように気を付けましょう。

しっかりした土台作りによって立派な「レンガの家」を立てることができるように頑張りましょう!