「ペア碁の大会で勝つためにはどうすればよいのか?」について考察していきます。

ペア碁の大会で勝つためには

ペア碁とは?

囲碁には「連碁」といった2人1組以上で打つ対局形式があります。

中でも男女で組む対戦を「ペア碁」と称しています。

日本ペア碁協会が主催するのはアマチュアの大会のみならず、プロの国内棋戦や国際棋戦も開かれています。

ペア碁で最も大切なのは「パートナー選び」です。

アマチュアの大会の場合はペアの棋力に合わせたクラス別のハンデ戦になります。

男女の棋力が離れていても問題ありません。

ハンデはポイント制になっており、以下のような規定によってハンデポイントが決まります。

アマタイトル保持経験者 9ポイント

アマタイトル戦都道府県代表経験者 8ポイント

七段 7P

六段 6P

五段 5P

四段 4P

三段 3P

二段 2P

初段 1P

1級 0P

2級 -1P

3級 -2P

4級 -3P

5級 -4P

6級 -5P

※ペアのハンデは2人のポイントの合計を2で割った点数をハンデポイントとする。

すなわち六段と5級の2人でペアを組んだ場合「{6+(-4)}÷2=1」となります。

ハンデポイント1Pということは「初段ペア」と対戦するときは互先です。

余りにも棋力が離れすぎていると盤上での意思疎通が上手くいかず、チグハグな展開になってしまうこともあります。

パートナーは棋力の近い人と組むほうが無難でしょう。

ちなみに手合い割りはハンデポイントの差のもと以下のようになります。

ポイント差 置き石 コミ

0.0   0   6

0.5   0   0

1     0   -6

1.5   2   0

2.0   2   -6

2.5   3   0

3.0   3   -6

3.5   4   0

※ポイント差9Pまで同じように続く。持碁は白勝ちとする。

「コミ6目」とは通常の黒から出すコミであり、「コミ-6目」とは白から出す「逆コミ」のことです。

つまり0P差なら「互先」となり、0.5P差なら「定先」となります。

0.5Pに+1Pしていくと通常の「置き碁」のハンデと変わりません。

1P差は「逆コミ6目」であり、1Pに+1Pしていくと「置き石+逆コミ6目」となっています。

「逆コミ6目」という概念はあまり馴染みがないかもしれませんね。

何も難しいことはなく置き石1子に付き「1手分」、コミ6目に付き「半手分」のハンデとして計算します。

初段の棋譜を解説します!【十局目】

※詳しい解説はこちらをご覧ください。

とりあえず表を参考にしてハンデポイントを算出しておけば間違いありません。

先ほど棋力の近いパートナーと組んだほうが良いと言いましたが、誰と組むかに関わらず相手次第では「置き碁」になります。

すなわち「黒番」でいくつも置くかもしれませんし、または「白番」でいくつも置くかもしれません。

有段者ならまだしも級位者の方は慣れない「白番の置き碁」に四苦八苦しないように練習しておきましょう。

また「打つ順番」が非常にややこしいのがペア碁の唯一のネックと言っても過言ではありません。

着手する順番は以下の通りになります。

黒番 女性

白番 女性

黒番 男性

白番 男性

※この一巡を正規のローテーションと称し、対局者は常に正規のローテーションに従い着手しなければならない。

誤順を指摘されても即座に反則負けにはなりません。

3目のペナルティーを払って、正規のローテーションに戻します。

基本的には「対局時計」を使うことになるので、時間に追われながらローテーションを気にするのは大変な負担になります。

いざ、大会へ向けて

ペア碁の最も優れたところは初心者・初級者でも気兼ねなく参加できることです。

囲碁を始めたばかりの方にとって、大会に出場するというのはハードルが高すぎます。

しかし信頼できるパートナーがいれば「参加しようかな」という気持ちになります。

だいたいペアを組むときは「有段者の男性」と「級位者の女性」というパターンが多いでしょう。

本気で臨む方は上位のクラスに「高段者ペア」を組んで参加します。

大会の雰囲気を楽しみたい方から本気の勝負をしたい方まで、人それぞれ大会にかける想いは一様ではありません。

とはいえ参加する以上は「勝ちたい」という気持ちを少なからず持って臨んでいるはずです。

もしあなたがペア碁大会に出場するなら、どのような作戦を考えて挑むのでしょうか?

宝酒造杯で優勝するには?【2019】

※興味のある方はこちらも合わせてご覧ください。

ハンデ戦の大会に参加するときは「棋力詐称」を疑われる行為はなるべく避けたほうがよいでしょう。

勝ちたい気持ちは盤上にぶつけるべきであって「盤外戦術」のようなことをしても意味がありません。

ちなみに大会の規模によっては、はがきでの参加申し込み時に「第三者の(棋力認定)サイン」が必要となる場合があります。

厳正な審査はされないのでサインなど「どうにでも」なりますが、やはり紳士淑女の大会にふさわしい態度で臨むべきでしょう。

1勝でも多く勝ち星を上げるにはパートナーとの信頼関係が何よりも大切です。

男性が上手の場合なら「女性の好きに打たせてあげる」のが基本戦略になります。

もちろん大会当時の対局中に「相談」することはできませんから、一局の方針を決めるなら事前に打ち合わせも兼ねて練習しておくべきです。

その際「それは違う」「ここはこうだ」なんて付け焼刃のアドバイスをしても何の意味もありません。

囲碁に限らず、下手が上手に合わせるのは至難の技であると心得ておきましょう。

囲碁は「失着(ミス)」が命取りになるゲームです。

パートナーに余計なプレッシャーを与えてしまうのは「百害あって一利なし」の行為となります。

ペア碁の練習はもう1組のペアを見つけて「本番さながら」に行うのをお勧めします。

盤上の戦術より「打つ順番」「対局時計の管理」など確認しておくことが山積みです。

対局時計は基本的にどちらが押しても構いません。

「着手をするほうが押すのか」それとも「固定で押すほうを決めておくのか」は大変重要な取り決めです。

仮に男性が押すと決めていても、対局時に左右どちらに時計を置くのかわかりません。

大会慣れしている方ならいざ知らず、対局時計の扱いは勝敗に影響を及ぼすほど大事なのです。

打つ順番と合わせて、大会当日までにできる限りの準備と対策は講じておきましょう。

コウを制する者は一局を制す

盤上の戦術においても万全を期したい方にお勧めの戦略があります。

ちょっと小賢しい作戦ではありますが、盤外戦術ではなく立派な「盤上での戦術」になります。

それは「利かし」を活用することです。

「有段者の男性」「級位者の女性ペア」なら重要な局面では男性に手番を回したいのではないでしょうか?

手番をコントロールするために女性は「アタリ」や「出」などの利かしの体得を目指します。

利かしに慣れている有段者ならいざ知らず、級位者にとって「適切な利かし」を打つことは非常に難しいはずです。

そこで「コウ」の練習を徹底的に行います。

「コウ材を利かす」という行為がそのまま手番を回すことに応用できるからです。

実際にペア碁でコウが現れたときの対策にもなります。

ただでさえ打つ順番がややこしいのに、コウの取り番・立て番まで加わったらもう訳が分かりません。

「損コウを打たずにコウ材を立てるには、どこから利かせばよいのか?」これは有段者の方にとっても大いに勉強になる題材でしょう。

いざというときに利かないコウ立てだったり、利かす順番を間違えたりするとコウ材が足りなくなる場合があります。

それでは、コウを譲るときにどこを「二手連打」しますか?

交互に打つことがルールで定まっている囲碁の中で、コウは唯一と言ってよい二手連打できるチャンスになります。

コウの取り番・立て番をしっかり考えて打てるのは「三段以上の棋力」がなければ難しいでしょう。

そもそもペア碁でコウになったら、必ず順番にコウ立てをしなくてはいけません。

想定図を以下の通りにしてみましょう。

黒 相手女性 コウを取る

白 ペア女性 コウ立てを打つ

黒 相手男性 コウ立てを受ける

白 あなた  コウを取る

黒 相手女性 コウ立てを打つ

白 ペア女性 コウ立てを受ける

黒 相手男性 コウを取る

白 あなた  コウ立てを打つ

黒 相手女性 コウ立てを受ける

白 ペア女性 コウを取る

黒 相手男性 コウ立て

白 あなた  コウ立てを受ける

※以下、コウを解消するまで繰り返す。

実戦でコウになった場合、図の通りに進行します。

「コウを取る」「コウ立てを打つ」「コウ立てを受ける」この3つをあなたとパートナーを含めた4人全員がこなすことになります。

「コウ立てを受ける」というのを「コウを解消する」に置き換えると、コウのループを終わらせることができます。

しかしそのあと「コウ立てから二手連打」という適切な行動を級位者の女性パートナーが取れるのでしょうか。

十中八九、無理だと断言しておきましょう。

なぜなら級位者の碁において、コウ材を競う本気のコウ争いなど起こり得ないからです。

終局間際の「半コウ」ならいくらでも起きて然るべきでしょう。

ネット碁であれば、級位者でもまともにコウ争いしていることもあります。

ただ級位者のパートナーに過度な期待はしないことです。

そもそも有段者であるあなた自身がまともにコウ争いできるのかさえ疑問が残ります。

それほどまでに「コウ」というのは囲碁においての「鬼門」なのです。

コウは囲碁の中でも「別競技」であると捉えてもよいかもしれません。

コウのルールを理解している人は多くても、コウを上手く扱える人はごくわずかでしょう。

逆に言えば、コウの体得こそ対局における大きなアドバンテージになり得ます。

特にペア碁のコウ争いは上図のように複雑に手番が変わっていきます。

何の準備もなく、死活絡みのコウ争いになってしまっては慌てふためくだけです。

打つ順番を意識しながら「取り番」「立て番」「コウ材を受けるか、解消するか」の判断を下して、なおかつ対局時計を押さなければなりません。

どうして何の準備もなしに当日を迎えることができるでしょうか?

とにかく大会当日までに「利かし」で手番を回すことも含めた「コウ争い」の練習を徹底的にしておくべきでしょう。

できる限り、実戦に近い形で練習するのが望ましいと思います。

2人だけで特訓するなら「コウ材探し」に焦点を絞って訓練するのがよいかもしれません。

適切なコウ材を見つける癖を付けてしまえば、利かしによる手番の入れ替えも容易になります。

大会で勝つのは決して簡単なことではありません。

ましてや自分1人だけではなく、パートナーと二人三脚なら尚更です。

しかし2人であれば「負けたときの責任は半分」「勝ったときの喜びは2倍」になります。

パートナーを尊重しつつ、「絶対勝つんだ!」という強い意志を持って大会に臨んでみましょう。

結果もさることながら、きっと素晴らしい内容の碁になることを期待しています。