パンダネット初段vs初段の棋譜解説をしていきます。

 

布石解説

黒1,3の二手は棋譜並べをしている方にとっては少々面白い配石です。

黒1の右上隅小目(北北東)もさることながら、左上隅に黒石が打たれるのは珍しい光景です。

白2の小目の向きは次に黒の勢力に向けてシマリを打とうというものです。

ゆえに黒5手目のカカリは左下隅に打ちたくなりますが、そう堅苦しく考える必要もありません。

黒1の小目からシマリを打つ代わりに、黒5~9まで白の勢力が右辺に伸びてくるのをけん制しました。

白2のシマリを急ぐと黒3のシマリを打たれて、右上隅の黒の勢力圏に誘い込まれそうです。

よって白10では左上隅のカカリに先行しました。

白16のヒラキは一路狭く、黒17と詰める手が好点になります。

白16で定石どおりに三間ビラキすると、三間への打ち込みが気になります。

かといって白16の二間ビラキでは、右上隅の小目から詰め寄られて黒に三間幅を与えてしまいます。

広く構えると打ち込みが弱点になり、狭く構えると相手に広く打たれます。

どちらにせよ一長一短であるのなら恐れず、打ちたい手をしっかりと打つべきでしょう。

白18の一間トビは守り過ぎです。黒は左辺に左上隅の黒石の剣先が出ているとみて、下辺を割り打ちました。

白20の詰めは右下隅から打つほうが良いでしょう。黒が二間ビラキすれば、白は左下隅のシマリを調子で打つことができます。

白が左下隅から詰めると、黒21の二間ビラキがそのまま右下隅の白への圧力になっています。

白22,24も消極的な守りです。白は上辺、右下隅ともに少し過敏に守り過ぎています。

黒25のカカリに回れて黒は絶好調の流れでしょう。

白26のぶつかりから白30のツギまで、白は消極的すぎてまったくパッとしません。

特に白30のツギは不要です。黒から出られても押さえて、白一子を噛み取るなら手を抜いて白は先手を得ます。

黒33のヒラキまで、布石は完全に白が出遅れてしまいました。

中盤解説

囲碁には布石・中盤・終盤(ヨセ)があります。

いつまで布石なのか、いつからいつまで中盤なのか、そしていつから終盤(ヨセ)なのか誰にもわかりません。

便宜上そういう括りをしているだけのことで、特に明確な基準は定まっていません。

布石に関しては一局のうち必ずあります。ヨセに関しても中盤で中押しにならない以上は必ずあります。

しかし中盤の戦いは一局のうちあるかどうか定かではありません。

もしお互いに戦う意思がなく終局へ向かうとすれば、布石の次は大ヨセになります。

実際には中盤戦のない碁など、初級者同士の対局を除いてほぼあり得ません。

とはいえ、いつ戦いを始めるのかどうかはお互いの間合い(地合い)次第です。

白32とツケて序盤早々白が仕掛けていきました。

右上隅のカカリがまだ残っていますが、左辺でお互いの石がぶつかって競り合えば中盤戦に突入です。

手数を基準に考えるのであれば、序盤・中盤・終盤と表現します。

内容を基準に考えるのであれば、布石・戦い(中盤戦)・ヨセとなります。

序盤早々起きた戦いが終盤まで続くことも十分考えられます。

戦いの連続で最後のヨセの手数が短い碁から、早々に終戦してヨセの手数が長い碁まで様々です。

厳密に表現する必要はありません。戦いがひと段落して布石に戻ることやヨセの最中に再び戦いに戻ることもあります。

左辺で白が序盤早々に仕掛けたのは、布石で黒に後れを取ったと自覚している証拠でしょう。

左辺を三線でしっかり固めている黒にとっては、白の仕掛けは有難い話です。

黒33~57まで左辺の白石は黒の格好の標的になっています。

白58と下辺の黒石にモタレて、白も左辺の黒石を狙っています。

ところが黒59~67まで下辺の黒石を守らずに左辺の白石を追及してきました。

黒69のカケから黒は割と本気で左辺の白石を取りかけに行っています。

しかし黒81,83まで、黒の包囲網はキズが多くてとても外壁が持ちません。

白92のアテは筋違いですが、一応こちらのアテでも黒の外壁を突き破れます。

黒がアタリをツグと中央の黒数子が取られてしまうので、黒は白96のポン抜きを許さざるを得ませんでした。

こうなると左辺の黒石の死活問題にも発展しますし、下辺の黒石も左辺の白石を攻めた代償のフリカワリでぼろぼろです。

黒97~103まで左辺の黒石の生きを確かめました。

白96のポン抜きに対して、左辺の黒の死活は黒から打てば少なくともセキ生きになります。

白104のコスミから白106のカタツキまで、今度は中央の黒石を白が攻める立場です。

白106のカタツキはモタレ攻めです。中央の黒石を遠巻きに囲む狙いと、右辺の黒石への寄り付きを狙っています。

黒107と中央の黒石を動くのはよくありません。

白108のノゾキを利かして、白110~136まで右辺の黒模様が大きな白地へと変わってしまいました。

白136まで中央の黒石は生きただけで何の活躍もしていません。

発端となる白106のカタツキには、どう対応したらよいのか難しいところです。

すでに白106のカタツキを打たれた時点で黒は応手に困っていますから、やはり白96のポン抜きを許したことが致命的でした。

終盤解説

同じ棋力であれば、布石で上手くいっても中盤でひっくり返されることが茶飯事です。

むしろ布石が下手な人には要注意です。

初段の実力がありながらこの碁の布石はパッとしない、とても有段者とは思えない打ちまわしです。

だからこそ、中盤力で補っている可能性が十分考えられます。

どの棋力においても「あ、この人布石下手だな」と思っていたら、中盤戦でいきなり力を発揮してくることがよくあります。

白136まで右辺~右下隅にかけて黒石を取り込まれて白地にされては黒に勝機はありません。

ところが面白いことに最後は結構良い勝負になります。

黒137~161までこのまま順当にいけば、大差で黒が負けてしまいます。

黒163のアタリに白二子をツイだのが、白の軽率な受けでした。

白164では白168のポン抜きで受けていれば、簡明で黒から分断されることもありませんでした。

黒165~171まで手順を尽くして白の大石を分断して召し取ってしまいました。

しかしまだわずかに黒は及びません。

左辺の白石を取っても足りないのは、それまでの地合いの大差を物語っています。

白172以降の盤上には大したヨセも残っておらず、形勢変わらずのまま終局に至りました。

結果は白の6目半勝ちです。

何だかんだ言っても同等の棋力であれば、お互いのミスも相まって良い勝負になるものです。

総評

囲碁において勝負のしどころ、決めどころは非常に大切な要素です。

白は序盤早々仕掛けた戦いが無謀だったにも関わらず、黒が無理やり白石を仕留めに来てくれたおかげで黒の包囲網を突破することができ、逆に優位に立つことができました。

黒が勝負を焦らずじっくり打っていれば、黒の優位は揺るぎないものだったはずです。

白58のツケ、白106のカタツキが素晴らしいモタレ攻めであり、この二手によって勝負の流れが変わりそして決まりました。

一局のうち、最初から最後まで優位に立てることなど同等の棋力では稀なことでしょう。

いつ勝負を仕掛けるのか、いつ勝負を決めに行くのかを常に意識して打つように心がければ、一局の流れにメリハリが出てきます。

ただ漫然と打つことのないようにしたいものですね。

皆さんも一手一手に力を込めて、想いを込めて打ってみてください。

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