「囲碁初段を目指す最短の道のりとは何か?」について考察していきます。

囲碁初段を目指す最短の道のり

玄人の打ち方

あなたは囲碁をどんなゲームと捉えていますか?

恐らく多くの方は「地を多く取ったほうの勝ち」と認識しているでしょう。

まさしくその通りです。

にもかかわらず、皆ある分野の勉強を疎かにしています。

あなたが級位者であるのなら、まず間違いなく取り組んでいない科目かもしれません。

それは「ヨセ」です。

囲碁は「生き死に」のゲームですか?

そうではありません。

生き死にも含めて「最終的に地を多く取ったほうの勝ち」というゲームです。

囲碁において生き死には大切ですが、長い目で見たときに「大技」はたいして役に立ちません。

小技、小技をつなげていく「スモール碁」こそ、初段になるための最短ルートなのです。

他の競技と比較して考えてみましょう。

将棋は最後に「王将」を詰めたほうの勝ちとなります。

だからこそ「詰将棋」に取り組むことが勝ちへ直結します。

相撲なら土俵際、野球なら得点圏での攻防、テニスならネット・ライン際といった具合です。

すなわち「勝ちへ直結するかどうか」が勉強する上での1つのポイントになっています。

それなら囲碁で取り組むべきなのは「死活」なのでしょうか?

違いますよね。

よく初級者の方に「石の連絡を大事にしましょう」と伝えています。

なぜなら石同士をつなげれば、そうそう死活にはならないからです。

石さえ無事なら、あとは「地」のことを考えればよいというわけです。

最後の最後、勝負に直結するのは「ヨセ」に他なりません。

囲碁を序盤・中盤・終盤と分けたとき、ヨセの占める割合は半分に達します。

序盤の「布石」や「定石」は最大でも50手ほどです。

中盤の戦いもせいぜい100手くらいでしょう。

それらに比べてヨセは100~150手の長丁場となっています。

勿論、ハネツギなど「3手でワンセット」のような場合も多く、見た目としては大したことないかもしれません。

しかしながら1手1手を積み上げていくことにより、ヨセの価値は見た目以上に高くなります。

もし1手につき半目ずつ得したら、最終的にはどれくらいの差が付きますか?

100手のヨセなら50目、150手のヨセなら75目の差が付いてしまいます。

実際には「先手ヨセ・後手ヨセ」の関係や「3手でワンセット」のような場合があるので、話はそう簡単ではありません。

ただ1つ言えることはヨセを勉強すれば、あなたの碁は劇的に改善します。

だってヨセの勉強なんてやっていないでしょう。

「私はヨセと目算だけはバッチリです!」という方に今まで出会ったことはありません。

アマチュア、特に級位者がヨセの勉強をしないのは当然といえば当然です。

それは「ヨセに至るまでが長すぎる」からです。

まず取っつきやすいのは「布石」でしょう。

どんな碁でも必ず布石から始まるわけですからね。

それから次に「中盤の戦い」に突入します。

ここら辺もいわば「囲碁の花形」ですから、一番の楽しみと言えるでしょう。

問題は「ヨセ」です。

あなたは棋譜並べをしていて、ヨセまでたどり着きますか?

仮に最後まで並べたとして、ヨセの手順を追うのは楽しいですか?

まさにこの点こそ、囲碁の囲碁たる所以でしょう。

将棋なら「序盤」「中盤」「終盤」のうち、ヨセが「王将の詰み」という局中の一大イベントです。

囲碁は「死活」という一大イベントを過ぎ去ったあとに「ヨセ」を永遠とこなさなければなりません。

無論、死活の決着次第では「中押し」という結果もあり得ます。

しかし勝ちを積み重ねるためには「その先まで」考えておく必要があります。

級位者にとって死活までの過程が「一局」であり、そのあとは惰性で打っているに過ぎません。

もしあなたがヨセを真剣に取り組んだのなら、棋力の安定と向上に大きく貢献します。

というより、碁の質そのものが大きく変わるのは間違いありません。

今まで以上に「ポイントを取る」ことを意識するようになります。

「勝ちたい」「負けたくない」という一心で大きく地を囲おうとしたり、大石を仕留めようとする発想が変わります。

初段になるのに何も大技を決める必要はありません。

小技、小技でポイントを稼ぐような「玄人の打ち方」が求められています。

変わらない未来

初段を目指す上で大切なのは「ヨセ」であると断言します。

ヨセの技術は一度身につけてしまえば、碁形による影響をほとんど受けません。

せっかく覚えた「定石」「布石」「死活」「手筋」も碁形によって使える機会が限られています。

基本的なヨセは毎局出てくるので、身に付きやすく忘れづらい特徴があります。

ヨセといっても大別して2つに分けて考えます。

すなわち「大ヨセ」と「小ヨセ」です。

囲碁を覚えたての頃は「小ヨセ」を中心に勉強するとよいでしょう。

よく「終局の仕方が分かりません」という初心者がたくさんいます。

「終局が分からない」とは「小ヨセが分からない」のと同じ意味です。

囲碁における終局(終わり方)とは?

※興味のある方はこちらも合わせてご覧ください。

石がゴチャゴチャしていて、境界線がはっきりしないため終局は分かりづらくなっています。

これは初心者に限らず、級位者の多くは終局間際を苦手としています。

なぜ苦手なのが分かると思いますか?

理由は簡単です。

終局間際になるにつれて、打つスピードが遅くなるからです。

級位者と有段者、並びに高段者を見比べてみると一目瞭然でしょう。

大会における高段者同士の対局では、お互いに残り1分をきったところから熾烈なヨセ合いが始まります。

2人合わせて50手の小ヨセをあっという間に打ち合って終局を迎えます。

小ヨセは「正解が分かる」分野なので、打つべき場所がはっきりしています。

そのため、たとえ短い時間内でもキッチリ打ちきることが可能となります。

プロ棋士の手合でも、残り1分の秒読みに入ってから永遠とヨセを打っています。

普段の研究によって「この手は何目」といった数字を正確に出せるため、秒読みに追われても慌てずに打ちきれるのです。

ヨセを上手くなるには「見たことある」というヨセの形を増やすことが欠かせません。

二線のハネツギ、一線のハネツギ、二線のコスミ、サルスベリ等々

他にも先手ヨセ、後手ヨセを知るのがヨセ上手になる近道になります。

ヨセの訓練を実戦的に行うには「狭い盤」が最適でしょう。

9路盤、13路盤はもとより、ブラウザゲーム「COSUMI」の11路盤や15路盤もお勧めします。

とにかく「早くヨセにたどり着く」ことが先決です。

19路盤では布石や中盤の戦いによって貴重な体力や集中力を奪われてしまいます。

そのためヨセに入る頃には注意力が散漫となり、ダメヅマリによる大逆転を喰らってしまうのです。

囲碁初段を目指す上で、大切なのは「総合力」に他なりません。

「アタリの見逃しさえなければ、勝っていた」なんて言い訳は通用しません。

ポカや見損じも含めて「総合力」なのです。

定石、布石、死活、手筋、ヨセの5科目において、ヨセの勉強を疎かにしがちです。

逆に言えば、加点しやすい分野とも言えるわけです。

ヨセを勉強することで、各分野における「その後」が見えてきます。

「定石後」のヨセ方や布石、死活、手筋のあと「境界線をどのように打つのか」自然と見えてくるようになります。

これは「ひと段落」の見極めにもつながります。

「先手を取って大場に回る」という動きを理解するのは難しくないでしょう。

しかし具体的に放置した部分はどのようになるのか?

ここを理解できない人が級位者の大半ではないでしょうか?

結局のところ、生き死にとは「部分的な終局」を意味しています。

全局的に生き死にが確定したところで、残すは「ヨセ」のみとなります。

ならばヨセ方さえ分かれば、それぞれ手抜きもしやすいというものです。

「ここはあとでこのヨセを打つけど、今はとりあえずこっちだな」と容易に判断できます。

あなたが勝負に勝てない、あるいは初段になれないのは「先の未来が見えていない」からに他なりません。

囲碁における先の未来とは「ヨセ」であり、終局に至る道筋です。

勘違いしてはいけないのが、囲碁は「すべての生き死に」が確定しただけでは終わりません。

すべての生き死にが確定したのち、すべての境界線が定まってようやく終局を迎えます。

つまり囲碁で先を読みたければ、結果から逆算して考えるしかありません。

詰碁なら「黒先白死」といった結果を前提に読みを組み立てます。

布石、定石、手筋にしても「どういう未来を思い描くか」によって考えるべき方向性が変わります。

囲碁における唯一変わらない未来が正解を出せる「ヨセ」なのです。

※部分的な死活はともかく、フリカワリも含めた変化を想定すると実戦死活は答えを出せません。

棋力向上の実現

ヨセをしながら目算をするのは上達のためには不可欠でしょう。

最初のうちは小さい盤で慣れておき、徐々に大きい盤へ移行するのがセオリーです。

あなたは19路盤において目算を丁寧にしたことがありますか?

大半の方が「そんなの無理です」と答えるかもしれません。

とはいえ「できない」というのはむしろ「伸びしろ」と捉えることができます。

目算をできない理由は「ヨセ方を知らない」からです。

例えば、整地前の地を数えることくらい誰にでもできるでしょう。

そもそも「目算なんてしません」と言う方は初段を目指す資格などありません。

以前「切りは怖くて打てません」と言う方がいました。

残念ながら、切りが打てないのでは上達のしようがありません。

上達するために「何ができるか?」を考え、実行する人にだけ道が開かれるのです。

囲碁で勝つためには2通りの方法しか用意されていません。

1つは「ヨセて勝つ」もう1つは「中押し勝ち」です。

大差が付けば中押し勝ち、僅差ならヨセて勝つ道しか残されていないでしょう。

毎回、中押し勝ちを狙うのは「ホームラン」を狙うのと同じです。

毎試合、ホームランが打てれば苦労しません。

それに強くなればなるほど、大技を繰り出させない「守りの技術」が求められます。

「大石が死んだら嫌だな」

「何十目も負けたくない」

それはあなただけではなく、相手も同じ気持ちです。

あなたが岡目八目の「第三者」なら、地味なヨセ合いより取った取られたの大勝負を望むかもしれません。

しかし当事者としては少なくとも「大敗」だけは何とか避けようと努力するはずです。

大石を取られたくない、かといって地合いでも大差になりたくない。

そうすると必然的に「細かい勝負」が多くなります。

級位者なら10目以内を細かい勝負と定義してよいでしょう。

しっかり目算していれば、級位者といえど10目以内に収めるのは十分に可能です。

初段を目指しているのに目算を怠るなど、滑稽と言わざるを得ません。

むしろ「最短で初段を目指す」のであれば、大雑把な打ち方は無駄が多くお勧めできません。

勿論、目算をまったくしていない有段者の方も数多くいます。

なぜ彼らはろくに目算をしないにもかかわらず、初段の壁を越えることができたのでしょうか?

先ほども申し上げたように囲碁の実力はあくまでも「総合力」で決まります。

定石、布石、死活、手筋、ヨセのうち、どれか1つでも得意分野があるならそれだけ有利になります。

仮に500点満点中、300点を初段の合格ラインとします。

すると平均60点取れば良いわけですから、ヨセが苦手でも他の分野で十分補えます。

ただ、より効率的に総合点を上げるには「苦手科目の克服」が何よりも優先されます。

ヨセという分野は食わず嫌いしている方が多く、平均点を押し下げる要因となっています。

あくまでも「得意科目で勝負する」という方を反対する理由はありません。

どちらかというと私も苦手なことを後回しにするタイプだからよく分かります。

とはいえ囲碁の手数の半分近くを占めるヨセの勉強を疎かにするのは、あまりにも勿体ないでしょう。

大抵、伸び悩んでいる方は得意分野をやり尽して苦手分野になかなか着手しません。

もしあなたが死活を得意としていても、三段・五段の詰碁を解くのは大変なはずです。

定石、布石、手筋にしても同じことが言えます。

結局、苦手分野に取り組むのと同じくらいの苦労を強いられます。

「他のどの分野よりもヨセと目算を得意としています」なんて方はいません。

ヒカルの碁に出てくる「筒井先輩」がそのタイプでしたが、所詮は漫画の世界の話でしょう。

ヨセを勉強すれば、打ち方が根本的に変わります。

目算の習慣をつければ、感情に流されて右往左往しなくて済みます。

あなたが本当に「最短で初段を目指す」のであれば、苦手分野を克服しましょう。

平均点を押し上げて総合力を伸ばすことにより、あなたの棋力向上が実現します。