「なぜ囲碁は発展することができないのか?」について考察していきます。

囲碁は発展できない

応援できる競技

皆さんは囲碁のプロ棋士に対してどのような印象をお持ちでしょうか?

常々感じているのは、囲碁棋士と他競技のプロ選手との間には明確な差があるということです。

囲碁棋士には「ライト層のファン」が圧倒的に少ないのではないでしょうか?

例えば、野球などまったく競技ができなくてもファンとして応援することができます。

細かいルールなど知らずとも「田中将大すごい!」「イチローすごい!」と日々のニュース速報を楽しみにしている方も大勢いらっしゃることでしょう。

サッカーも野球に並ぶ人気競技ですね。

ワールドカップの時期になれば、これまでJリーグや海外で活躍する選手に興味のなかった人たちまでも一斉に応援し始めます。

サッカーには「オフサイド」というルールがあります。

それがサッカーというゲーム性において重要なルールであることを「ライト層のファン」はよく理解していません。

とはいえ、応援するのに細かいルールを把握している必要はありません。

ゴールネットが揺れるか否かに期待と不安を寄せるだけでも十分楽しめるでしょう。

さて、野球やサッカーなどのメジャー競技のみならず、気兼ねなく応援できる競技は他にもたくさんあります。

オリンピックの時期になれば、サッカーと同じように日本代表を応援しようとたくさんの方が普段見ない競技に注目します。

レスリングや柔道、フィギュアスケートやカーリングなど「夏」や「冬」でもどんな競技であれど細かいルールを知らずに応援することができます。

もちろん解説ありきで、今はどんな状況であるのかを把握している部分もあります。

しかしスポーツ競技は基本的に「観るだけ」で楽しむことができます。

それだけではなく、プロやメダリストの活躍はニュースで聞くだけでも嬉しいものです。

やはり日本人の活躍は皆で共感できるものです。

アマチュア競技者

それでは、囲碁におけるプロ棋士の対局はどうなのでしょうか?

テレビで毎週放映されているNHK杯で考えてみましょう。

囲碁の対局は「囲碁を知らない」人には残念ながら楽しむことができないでしょう。

囲碁のことをよく知らなくても「棋士のファン」だという方はたまに見かけます。

しかし囲碁のルールを知らずして対局を「観て」楽しむことはできません。

それに加えて、プロ棋士の対局には解説が必要不可欠です。

もし解説なしでプロの碁を披露したなら、どれくらいの方が内容を理解できるでしょうか?

五段以下のほとんどのアマチュアが何となくでしか理解できないでしょう。

私もよく精査しないことには、盤上で起こっている全容を把握することは困難です。

「形勢判断」なんてことになると、半目勝負の細かい碁ではもうお手上げになります。

スポーツは細かい理屈抜きでも「観て」楽しむことができます。

芸術の世界においても「観たり」「聴いたり」して理屈抜きで楽しむことができます。

囲碁の世界は実に不思議なものです。

まず内容を理解したいのであれば、まるっきりの素人では話になりません。

最低限のルールを学び、ある程度自分でも対局してみる必要があります。

その上で解説は必要不可欠です。

はっきり言って解説を聞きながら観ていても級位者にはよくわかりません。

囲碁には「アマチュア」競技者はある程度いるとしても「ファン」と呼べる一般的な方は極端に少ないのではないでしょうか。

囲碁における「ファン」とは必然的に「アマチュア」競技者でなくてはいけません。

スポーツや芸術における「ファン」とは競技経験者よりも「観戦(鑑賞)ファン」のほうが圧倒的に多いことでしょう。

野球やサッカーをしたことなくても球場やスタジアムに訪れる方は女性も含めてたくさんいます。

音楽や絵画などは誰しも一度は演奏したり描いたことがあるかもしれません。

しかしこれほどまでに多岐にわたって「ファン」のいる分野もそうそうないでしょう。

音楽であれば「バンド」絵画であれば「漫画」など本当に幅広いファンがいます。

これらに比べて囲碁は「アマチュア競技者=ファン」という実情が普及における障害になっています。

はたしてプロ棋士の対局を「観て」純粋に応援してくれる方がどれほどいらっしゃるのでしょうか?

どちらかといえば、プロの対局は「勉強」も含めた目線で観ているはずです。

「自分ならこう打つな」「なぜここに打たないんだろう」といった具合です。

囲碁仲間の対局を観ているときも、やはり同じような目線で観ているはずです。

世界一であれば

国内棋戦において誰か特定の棋士を応援している方も少ないのではないでしょうか。

ここ20数年近くも中国や韓国に日本の棋士は圧倒されています。

時が経つにつれてその差はどんどん開いていくばかりです。

そうして「最高峰ではない」国内のタイトル戦への注目度も年々低くなっています。

世界の舞台で日本の棋士が活躍しない限り、世間の注目を集めることはできません。

ワールドカップやオリンピックなど世界を相手に日本人が活躍できるかどうかに皆期待しているのです。

残念ながら今のところ中国や韓国の棋士たちと比べて、日本の棋士は明らかに劣っています。

これから今までよりも日本の棋士への期待と応援の声は少なくなっていくことでしょう。

1人の棋士が気を吐いて国内のタイトルを取ったとしても、それはあくまで日本の中だけの栄光に過ぎません。

ボクシングの「日本チャンピオン」と「世界チャンピオン」の差に似ています。

「将棋」や「相撲」などは海外にプロ競技がないため、国内における「名人」や「横綱」こそ最高の栄誉になります。

相撲の場合は海外出身の力士の活躍に押されて、日本人力士が苦戦しているようですね。

しかしそれでも「大相撲」という同一リーグで争っているので、当然ながら皆が最高峰のリーグに注目しています。

昭和の頃なら、囲碁の国内棋戦のタイトルがそのまま「世界一」の称号になりました。

皆がこぞって日本の棋戦に注目します。

何せ「世界一」の棋戦ですからね。

囲碁を世界に広めた棋士たちの貢献は1人の囲碁ファンとしては素晴らしいことだと感じています。

中国や韓国、そして台湾の囲碁界の発展も大いに歓迎しています。

その上で日本も各国に肩を並べることができれば、何も言うことはありません。

・囲碁はアマチュア競技者しか観戦を楽しめない。

・世界的に活躍できる棋士がほとんどいない。

以上の2つの理由から囲碁には「ライト層のファン」が少ないのではないかと考えています。

私も棋譜並べや対局観戦をしているときはどうしても「勉強」目線で観てしまうことが多いですね。

何かしらイベントに出ていたり、書籍を書いている棋士の先生であればライト層のファンも得やすくなります。

とはいえ、囲碁は「キャーキャー」応援するものではないですし、現状ではアマチュア以外のファンを獲得することは難しいでしょう。

囲碁のプロ棋士に対して、「アマチュア競技者」と「ライト層のファン」の在り方を今一度考え直さなくてはいけません。

将棋の「観る将」のように競技者ではないファンを得る努力をしていくのかどうか。

そして今も囲碁を楽しんでいる皆さんが今後より一層、楽しむためにはどうすればよいのか?

せっかく囲碁をやっているわけですから、1人でも多くの方に楽しみを共有できると素敵ですね。

周りに囲碁の魅力を伝えられるような妙案を皆さんも一緒に考えてみてください。