「囲碁におけるハネとは何か?」について考察していきます。

囲碁におけるハネ

ナナメの効果

囲碁を打つ上で意識しなければならないのは「石を取る」「地を囲う」ことの2点になります。

直接的に石を取るには「ダメ(呼吸点)」を詰めなくてはいけません。

このダメ詰めを効率よく行うのが「ハネ」であり、相手の石をダメヅマリに一歩近づけます。

ただし囲碁で「石を取る」のはあくまでも手段でしかなく、目的ではありません。

囲碁で目指すべきは「地を囲う」または「地を囲わせない」ことです。

相手の「地」になりそうなところを「石」を取ることで突破できれば、見事に地を囲わせないことができます。

「地の増減」のために「石の生き死に」があり、「石の生き死に」に関わる1つの打ち方として「ハネ」があります。

またハネは「石を取る」ためだけではなく、相手の石を「ノビさせない」ためにも打ちます。

地を囲うためには「石同士が連絡する」あるいは「どんどん石を伸ばす」ことが必要になります。

地を囲わせないためには「石同士を分断(切断)する」もしくは「石の進出を止める」ことが不可欠になります。

「連絡」に対しての「切り(分断・切断)」であり、「ノビ」に対しての「ハネ(止め)」というわけです。

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囲碁で地を囲う動きは大抵「まっすぐ」が効率的です。

ノビやトビはその代表格と言ってよいでしょう。

囲碁で地を囲わせない動きは「ナナメ」が効果的です。

ハネ、切りはその代表格と言ってよいでしょう。

「ケイマ」のような「まっすぐ」なのか、あるいは「ナナメ」なのか微妙な動きもあります。

「攻めはケイマ」というときは「地(眼)を作らせない」ようにナナメに動いているときです。

「ボウシにケイマ」というときは中央への進出を阻まれた代わりに、辺で「地を作る」動きをしています。

石をまっすぐ動くと「地を囲う」働きになり、石をナナメに動くと「地を囲わせない」働きになります。

ナナメの動きで「地を作る」働きをするのは「眼形を作る」ときくらいのものです。

「コスミ」は石の連絡を保ちながらナナメの動きをする形であり、ケイマと同じく「地を囲う」「地を囲わせない」動きの両方を担っています。

ただしコスミのようなナナメの動きでは、地を囲う効率が悪いと言わざるを得ません。

コスミやハネで「地(眼)を作る」ような状況はあまり芳しくないと理解しておきましょう。

実際の対局では「地を囲う」「地を囲わせない」の二元論ではなく、「地を囲いながら地を囲わせない」といった動きのほうが多くなります。

そのため「マガリトビ」のような「一間トビ+ボウシ」の形だったり、「ハネツギ」のような「押さえてツグ」といった攻防一体の動きをしたりします。

状況によっては、相手がこちらの陣地に入ってくるのを「止める」ためにハネを打つこともあります。

そういう意味では、ハネは「地を囲う(守る)」ときにも打たれることになります。

しかしどちらかと言えば「邪魔する」意味合いのほうがしっくりきます。

「相手がノビるのを止める」「相手の進出を止める」「相手の侵入を止める」など相手のやりたいことを「邪魔する」のが、ハネの真骨頂なのです。

ハネの重要性

「死はハネにあり」とは有名な格言ですが、あなたは死活における「ハネ」を使いこなせているでしょうか?

「死はハネにあり」というのは「広いと中手にできないから、まずは狭めよう」といった意味合いになります。

「中手」とは「三目中手」「四目中手」「五目中手」「花六」のことを指します。

「花六」は特殊な「六目中手」のことであり、実戦では滅多に現れません。

死活において「6目以上は生き」という認識で間違いありません。

5目以下の広さでは「眼形の急所」に置かなくては生きることができません。

よって「死はハネにあり」とは相手の根拠を「5目以下に狭める」テクニックのことなのです。

ハネて根拠を狭めたら、あとは「中手」や「打ち欠き」または「ダメヅマリ」を駆使して殺しに掛かります。

詰碁の問題は「狭める前か」または「狭めた後か」のどちらかに過ぎません。

つまり「狭めることから始める」問題か、それとも「急所に置く」問題かのほぼ2択に絞られます。

死活の殺す筋は「打ち欠き」と「中手」または「ダメヅマリ」しかありませんから、実は思っているよりも単純な構造になっています。

ちなみに「打ち欠き」はハネの一種であり、ナナメに切り込んで狭めるテクニックになります。

「打ち欠き」「放り込み」「2目にして取らせる」といった死活におけるこれらのテクニックは「ハネて狭める」のと何ら変わりありません。

囲碁では「ダメヅマリ」が鬼門となっており、ダメヅマリの問題を挟むから死活が難しいと感じるのです。

死活は単純明快であり、至ってシンプルなものです。

「ハネて狭める」「急所に置いてトドメを刺す」これしかありません。

ウッテガエシやオイオトシなど通常の手筋が使われることもありますが、それは「ダメヅマリ」の部類に入ります。

ダメの詰まり具合に関わらず「狭めて急所に置く」ことを心がけるのが、より実践的な打ち方です。

実戦においてダメヅマリに関わるのは「二段バネ」や「二目の頭、見ずハネよ」でしょう。

「二段バネ」とは「ハネに続けてもう一度ハネる」ことを指します。

黒番であれば「ハネ(黒)」「ハネ返し(白)」「二段バネ(黒)」となります。

しかし「2回続けてハネを打つ」という説明では成り立たない形もあります。

隅でよくできる「ツケ二段」という形は「ツケて二段バネ」することを意味しています。

黒番であれば「ツケ(黒)」「ハネ(白)」「ハネ返し(黒)」となり、これでは「ツケ+ハネ」でしかありません。

この矛盾を解消するには「アタリを抱えているハネ」を「二段バネ」と称するのが適切でしょう。

「2回続けてハネを打つ」と必ず「アタリ」が生じます。

「ツケ+ハネ」も同様です。

「二段バネ、打てて初段間近なり」という格言は「アタリが読めてきたら、もうすぐ初段になれる」ことを示唆しています。

それはつまり「ダメヅマリ(アタリ)」に対応できるようになっていると言い換えてもよいでしょう。

「二目の頭、見ずハネよ」もダメヅマリに関わる重要な格言の1つです。

「石を取る」1歩手前のことを「アタリ」と言いますが、「二目の頭ハネ」は3歩手前になります。

「二目の頭尻尾(ハネ)」なら2歩手前となります。

ハネは「死活に関わる」だけではなく、「ダメヅマリ(アタリ)」にも大いに関わっています。

「ハネを制すものは戦いを制す」と言っても過言ではありません。

それほどまでに「ハネ」は戦いにおける重要な役割を果たすのです。

怖がらずにハネる

囲碁のルールの中でも「石を取る(アタリ)」「着手禁止点(眼)」「コウ」の3つは「ハネ」を打たないとできない形です。

初級者の同士で打つと「まっすぐ地を作る」ことが多くなり、なかなか石の戦いが起こりません。

囲碁は「ナナメの動き」が難しさの要因であり、すべては「ハネる」ことから始まります。

相手より地を多く作るには「邪魔しながら囲う」ことが欠かせません。

お互いに「邪魔しながら囲う」ことで石を切り結んだり、競り合ったりの戦いになります。

よく使われる言葉として「ツケにはハネよ」という有名な格言があります。

これはまず「邪魔すること」が地を囲うための第一歩であることを示しています。

「地」というのは「死活の完成形」であり、「死活の完成形」とは「石の最終形」のことです。

初めは「点」で存在している石をどんどん増やしていくことで、最後は「面」となり地として数えることができます。

つまり最初は「面(地)」を「作る」よりも「邪魔する」ほうが打ちやすいのです。

図形に基づく囲碁の打ち方とは?

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ハネが最も効果を発揮するのは「序中盤」における戦いのときでしょう。

石数が増えてくる「中終盤」では、一手で局面を覆すことが困難になってきます。

「ツケにはハネよ」の格言も序中盤で使われる言葉であり、石数が増えてくると「ツケには手抜き」も十分考えられます。

ハネの効果を最大限生かすためには布石~中盤にかけて多用する必要があります。

相撲で例えるなら、ハネはいわば「張り手」に相当します。

立ち合いから積極的に使わなければいけません。

がっぷり四つに組み合ってからでは効果が薄いでしょう。

また高度な戦いになればなるほど、盤上にコウが発生しやすくなります。

それは「ハネ」や「切り」などのナナメを多用しているからです。

コウが難解な理由は「リズムが変わる」こともありますが、ハネから派生する「ナナメの動き」が視覚的に認識しづらいこともあります。

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将棋で言うところの「角」や「桂馬」も「ナナメの動き」のため、目で追うのが大変でしょう。

タテヨコに線が引かれている盤上において「ナナメの動き」というのは1つの概念でしかありません。

実際には「斜めの線」は引かれていないわけですから、「ナナメ」という捉え方をしているだけに過ぎません。

だからこそ「ハネ」や「切り」のような動きは難しく、そこから派生する「アタリ」「着手禁止点」「コウ」の形はさらに難解となるのです。

初めから局面を難しくしようと思う方は稀ではないでしょうか?

しかし「ハネ」や「切り」などの「邪魔する動き」は序中盤でしか真価を発揮できません。

局面が煮詰まって劣勢が明らかになってからでは、相手の石を打ち崩すことは到底不可能でしょう。

ならば局面の広いうちから「ハネ」や「切り」を多用して盤上を動かしていく必要があります。

劣勢のときは複雑化した局面が有利に働きますし、優勢のときは「捨て石」を活用しながら局面の収拾を図ります。

いずれにしても「難しさ」を避けていては、勝つことも上達することもできません。

「簡明に勝つ」ことが理想的な打ち方ではありますが、そもそも「簡明」とは棋力によって感じ方が違います。

ハネを怖がらずに打てれば、中級者以上の実力を備えていることでしょう。

切りを怖がらずに打てれば、上級者以上の実力を備えていることでしょう。

コウを怖がらずに打てれば、有段者以上の実力を備えていることでしょう。

「読みの力」さえ備わっていれば、何も恐れることはありません。

その読みの力を養うためにも、実戦で「ハネ」を積極的に打つことが肝心なのです。

「ツケにはハネよ」「ハネにはノビよ」の格言通り、攻守をバランスよく打てるようになりましょう。

「ハネ」は囲碁における基本的な「攻め(邪魔)」ですから、「ノビ(守り)」と合わせて使いこなせるようになりたいものですね。