「囲碁に勝つための勉強法とは何か?」について考察していきます。

囲碁に勝つための勉強法

再現性を高める

あなたは勝つためにどんな勉強をしていますか?

この質問に対して

「対局を重ねている」

「詰碁・手筋の問題を解いている」

「棋譜並べをしている」

と答える方が大半ではないでしょうか。

しかしこれらはいわば「上達法」であって、勝つための勉強法ではありません。

あなたの今の棋力が「初段」として、同じ棋力の相手に勝つためには「昇段」するのが最も手っ取り早いでしょう。

とはいえそう簡単に二・三段へと昇段できれば、誰も苦労しません。

たとえ昇段できたとしても、その棋力でまた「勝ち負け」を争うことになります。

では、先ほどの質問に少し補足を加えてみましょう。

あなたは「誰に」勝つためにどんな勉強をしていますか?

実はこの「誰に」が曖昧な方というのは結構います。

数字的な目標として「初段になりたい」「もっと上を目指したい」と仰る方は多いでしょう。

しかしながら、囲碁とは「相手」が存在して初めて成り立ちます。

勝利とは自分1人で成し得るものではなく、目の前の相手に勝利してようやく得られるものなのです。

この「誰に勝ちたいのか?」というのは、上達するうえでも極めて重要な要素になります。

囲碁は成功の「再現性を高める」ことが何よりも大切です。

対局の勝ち負けによって良し悪しを判断し、より良い打ち方を模索します。

ただ囲碁は変化が多く、また初期配置も決まっていないため毎回打ち方が変わるように見えます。

詰碁や手筋を勉強してある程度の「形」を習熟している方は部分戦による「再現性を高める」ことができています。

しかし大局観による形勢判断になると、囲碁は一局ごとに異なる判断を下さなければなりません。

囲碁は有限の分野である「石」に関しては突き詰めることができても、無限の分野である「地」に関しては突き詰めることができないのです。

毎局ごとに局面が変化していては、とても一局一局を検証して再現性を高めることなど不可能でしょう。

せめて何かしら「基準」がなくては話になりません。

その基準というのが「相手(人)」なのです。

同じ相手なら打ち方が毎局ごとに大きく変化することはありません。

実利派の人が「今日は模様で打ってみようかな」と言っても、基本的には地を重視している普段の価値観と同じように打っています。

「棋風」とはすなわちその人自身の「性格」によるものです。

強気な人はガンガン攻めてきますし、慎重な人は無理せずじっくりと打ち進めます。

囲碁における棋風とは?

※興味のある方はこちらも合わせてご覧ください。

たとえ盤上における変化が千差万別であっても、人それぞれの「癖」や「傾向」もしくは「好み」というものは決まっています。

つまり囲碁の最善を突き詰めることができなくとも、対戦相手を研究し尽くすことは可能というわけです。

もちろん見ず知らずの人を研究しようという気は起こりません。

あなたが勝ちたいライバル、目標としている人、負けたくない相手はいませんか?

その人たちの碁を徹底的に「研究」してみましょう。

そうすればおのずと「傾向」が見えてきますから、当然ながら「対策」も立てやすくなります。

相手を研究して勝利を目指すのは、ただ勝つだけではなく上達には欠かせない「再現性を高める」ことにつながるのです。

誰に勝ちたいのか?

「毎局同じ相手と打っていては、碁の幅が広がらないのでは?」という懸念をされる方もいます。

研究してまで勝ちたい相手は「3人」くらいにしておき、あとは不特定多数の方と対戦するのが望ましいでしょう。

これは「布石研究」と同じ理屈です。

研究する布石を「3つ」くらいに決めておき、あとは状況に応じて打ち分けるようにします。

仮に「三連星」「中国流」「単三々入り」の3つを勉強するとしましょう。

黒番なら好きな「3手」を打てるので、思い通りの布石を選択することができます。

白番のときは相手がどのような布石作戦で来るのか見当も付きません。

基本的には黒番のときに研究した布石を使うことになります。

布石を「対戦相手」に置き換えればわかりやすいでしょう。

つまり打ちたい相手に対戦を申し込むときは「黒番の立場」であり、逆に申し込まれるときは「白番の立場」というわけです。

どうせ「白番の立場」のとき不特定多数の方と打つことになるので、「黒番の立場」のときは打つ相手を「知り尽くしている」に越したことはありません。

例えば「ネット碁」であれば、過去に負けた相手を「研究対象」とするのがよいかもしれません。

普段対局を申し込まれたときはさておき、自ら申し込むときは特定の相手を決めておきます。

対戦相手は何人でも構いませんが、必ず「相手を研究する」ことを怠ってはいけません。

それをせずに対局するのは、同じ棋力である以上「賽の目を振る」だけの行為となってしまいます。

適切なハンデを付ければ、いくら打っても勝率5割に落ち着くのは目に見えています。

5割を超えて勝ち続けるには、相応の準備が欠かせません。

あなたは誰かに教えを乞うときにライバルまたは目標とする人の打ち碁を見てもらったことがありますか?

ほとんどの方は「自分にしか興味がない」のではないでしょうか?

中国の有名な戦略家である孫子曰く「彼を知り己を知れば百戦危うからず」と評しています。

すなわち「相手を知ること」そして「自分を知ること」が大事であるということです。

もしあなたがダイエットをするとして「誰に見られたいのか」というのを意識していますか?

自己満足では「際限がない」ばかりでなく「どうでもいい」と考えてしまいがちになります。

「どこまでも強くなりたい」と思う反面、一方では「別に強くなったところでね」という思いがあります。

なぜそういう気持ちになるのかというと「基準がないから」に他なりません。

囲碁を始めた方が皆「初段」を目指し、夢見るのは「世間的な評価」によるものです。

「まあ初段くらいあれば、頑張ったと評価されるかな?」といったところでしょう。

はっきり言って段級位など「ただの飾り」に過ぎません。

初見の人と適切なハンデを付けて打つためのものであり、それ以上に意味のあるものではありません。

ダイエットなら「体重(数字)」を追っているようなものです。

確かに「体重(数字)」というのは、自己管理するための基準として欠かせないものかもしれません。

しかしもっと大事なのは「見た目」でしょう。

さらに「誰に見られたいのか?」というのが最も大切なことではないでしょうか。

あなたが「初段」であることにどれくらいの価値がありますか?

もしライバルが五段の実力であれば、あなたの初段は「ひよっこ段位」でしかありません。

逆にライバルの実力が5級であれば、1級を超えたあなたは「級位の最高峰」に他なりません。

棋力が上がるごとにライバルができるのではなく、「誰」をライバル視するのかが大切なのです。

今まで自分にしか目を向けていなかった方はぜひ対戦相手にも目を向けるようにしましょう。

それでこそ、囲碁に取り組む張り合いがあるというものです。

大会で勝つためには?

人によっては「特定の相手」ではなく「不特定多数の誰か」に勝ちたいという方もいます。

もしアマチュアの一般棋戦に出るのだとすれば、それはもう「高段者」の域に達していることでしょう。

ダイエットであれば、もはや「モデル」レベルであることは間違いありません。

そのレベルまできたら、誰が相手でも勝ちたいのはわかります。

しかし「無差別級」の大会ならいざ知らず、「ハンデ戦」の大会ではとかく「再戦」する機会が多々あります。

同じ段級で初顔合わせした相手とは、別の大会で当たることも珍しくありません。

特に田舎の大会では「知っている顔しかいない」といった状況もあり得るでしょう。

これは都内の大会でも起こり得ることです。

ハンデ戦の大会としては最大規模の「宝酒造杯」に出場した方の中には、前回対戦した方と再会したりしています。

私もアマチュア棋戦で戦った相手と宝酒造杯の六段戦で再戦する機会がありました。

つまりこの狭い囲碁界は「一期一会」ではなく、再会・再戦する機会に溢れているということです。

それなら尚更、対戦相手の研究を怠るわけにはいきません。

初戦は仕方ないとしても、二戦目以降は前の対戦データを基に臨むべきでしょう。

「前の対戦データ」とはすなわち「棋譜」に他なりません。

棋譜を記憶できない方は「文明の利器」を頼りにしましょう。

何かしら記録を残しておかなくては、反省することも検討することもできません。

効率のよい囲碁の上達法とは?

※詳しくはこちらをご覧ください。

勝負に勝つためには己を高めればよいというだけの話ではありません。

それでは「手談」ではなく、ただの「独り言」になってしまいます。

「自分にしか興味がない」「囲碁の最善をひたすら追求したい」というのであれば、それはAlphaGoを始めとしたAIの思考と何ら変わりありません。

あるいは「修行僧」や「仙人」といったところでしょうか?

この俗世に生きている以上、人との関わり合いを避けて通ることはできません。

囲碁もまた然りです。

一局における勝ちを目指すのであれば、対戦相手の情報は必要不可欠なものでしょう。

未来の対戦相手の情報を集めるためには、いろんな囲碁会に顔を出すのが何よりも有効です。

同じ棋力、もしくは将来ライバルになりそうな人はチェックしていて損はありません。

「でもせっかく大会に出るのに顔見知りと打ってもしょうがない」という方もいるでしょう。

しかし顔見知りと真剣勝負することは、なかなか緊張感があって面白いものです。

それこそプロ棋士は子どもの頃から何十年もかけて「顔見知り」と対戦し続けています。

木谷実門下の趙治勲・小林光一を始めとする後の世のタイトルホルダーの棋士たちは数えきれないくらい幾多の勝負をしてきました。

だいたい天才は天才同士、凡人は凡人同士とよく当たるものです。

それに知らない人ならまだしも、大会で顔見知りに負けるのはかなり悔しい思いをします。

本気で勝ちたい気持ちがあるのなら、将来ライバルになりそうな相手のデータをできる限り集めましょう。

どんなプロ競技でも、あるいは強豪のアマチュアであっても対戦相手のデータを集めて研究するのは「基本中の基本」になります。

今は誰でも「ネット碁のアカウント」を持っているので、差し支えなければ聞いておくのもよいでしょう。

それなら労せずして対戦相手の棋譜をチェックすることができます。

もちろんその場合は礼儀として自分のアカウント名も教えましょう。

知り合いに見られているかもしれないと意識すれば、おのずと碁の内容も良くなります。

あなたが「今の実力」で勝つためには、己を知ることだけではなく相手を知ることが必須となります。

またそれでこそ「人と人」の勝負と言えるのではないでしょうか?

是非ともこれからは「上達したい」というアバウトな目標ではなく、「あの人に勝ちたい」といった具体的な目標を掲げたいものですね。